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フィブロネクチンで代謝的により健康に
Metabolically fitter with fibronectin
SCIENCE SIGNALING
25 Apr 2023 Vol 16, Issue 782
[DOI: 10.1126/scisignal.adi3398]
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org
K. Kuramoto, H. Liang, J.-H. Hong, C. He, Exercise-activated hepatic autophagy via the FN1-α5β1 integrin pathway drives metabolic benefits of exercise. Cell Metab. 35, 620-632.e5 (2023).
骨格筋から分泌されるフィブロネクチンによる肝臓のオートファジーの活性化は運動による代謝の向上に寄与する
身体的運動は、高分子および細胞小器官に由来する栄養を再利用する過程であるオートファジーを全身で誘導するが、オートファジーの研究はもっぱら骨格筋で調べられている。Kuramotoらは、肝臓で誘導されるオートファジーが身体的運動による全身の代謝利益に必要であることを発見した。肝臓でオートファジーを誘導できないマウスは、対照マウスと同様の運動能力を示したが、高脂肪食を与えられると、毎日の運動後に対照マウスではみられた全身のインスリン感受性の改善を示さなかった。プロテオミクス解析と追加のノックダウン研究により、古典的に細胞外マトリックスタンパク質であると考えられているフィブロネクチン(FN1)が、運動に誘導されて骨格筋から放出されることが明らかとなった。骨格筋のFN1は、肝臓のオートファジーの亢進と高脂肪餌摂取中に毎日の運動によってもたらされる全身のインスリン感受性の改善に必要であった。このようなFN1の効果には、肝細胞表面のα5β1インテグリンが必要であり、α5β1インテグリンはIKKキナーゼ複合体、キナーゼJNK、キナーゼSrc、キナーゼFAKの活性化を引き起こした。IKKα/βおよびJNK1は、GFP標識されたオートファゴソームマーカーを発現するHeLa細胞でオートファジーを促進させる運動マウス由来血清の能力に特異的に必要であった。このように、身体的運動による全身の代謝効果は骨格筋のフィブロネクチン分泌によって調節されており、フィブロネクチンはα5β1インテグリンを介して肝臓でオートファジーを引き起こす。