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DEADボックスRNAヘリカーゼはカゼインキナーゼ2のヌクレオチド交換因子として機能する

DEAD box RNA helicases act as nucleotide exchange factors for casein kinase 2

Research Article

SCIENCE SIGNALING
25 Apr 2023 Vol 16, Issue 782
[DOI: 10.1126/scisignal.abp8923]

Edoardo Fatti1, 2, †, ‡, Alexander Hirth1, 2, ‡, Andrea Švorinić1, 2, 3, ‡, Matthias Günther4, ‡, Gunter Stier3,

Cristina-Maria Cruciat1, §, Sergio P. Acebrón1, ||, Dimitris Papageorgiou5, 6, Irmgard Sinning3, Jeroen Krijgsveld5, 6, Thomas Höfer4, Christof Niehrs1, 7, *

  1. 1 Division of Molecular Embryology, DKFZ-ZMBH-Alliance, Deutsches Krebsforschungszentrum (DKFZ), 69120 Heidelberg, Germany.
  2. 2 Faculty of Biosciences, Ruprecht-Karls University of Heidelberg, 69120 Heidelberg, Germany.
  3. 3 Heidelberg University Biochemistry Center (BZH), 69120 Heidelberg, Germany.
  4. 4 Division of Theoretical Systems Biology, German Cancer Research Center (DKFZ), 69120 Heidelberg, Germany.
  5. 5 Proteomics of Stem Cells and Cancer, German Cancer Research Center (DKFZ), Im Neuenheimer Feld 581, 69120 Heidelberg, Germany.
  6. 6 Medical Faculty, Heidelberg University, Im Neuenheimer Feld 672, 69120 Heidelberg, Germany.
  7. 7 Institute of Molecular Biology (IMB), 55128 Mainz, Germany.

† Present address: Department of Biology, Institute of Biochemistry, ETH (Eidgenössische Technische Hochschule) Zürich, 8093 Zürich, Switzerland.

‡ These authors contributed equally to this work.

§ Present address: Hochschule Esslingen, University of Applied Sciences, Fakultät Angewandte Naturwissenschaften, 73728 Esslingen, Germany.

|| Present address: Centre for Organismal Studies (COS), Heidelberg University, 69120 Heidelberg, Germany.

* Corresponding author. Email: niehrs@dkfz-heidelberg.de

RNAからリン酸化まで

RNAヘリカーゼはRNAプロセシングを促進し、さらに、ATP依存的にRNA構造を再構成してRNA‐タンパク質間の相互作用を促すために重要である。Fattiらは、DDX RNAヘリカーゼが、これまでに明らかにされていたCK1εの活性化に加え、プロテインキナーゼCK2も活性化する可能性を明らかにした。彼らが行ったDDX3Xの構造および機能の研究から、キナーゼの刺激はヘリカーゼのコアドメインを介して生じること、さらに、DDXタンパク質はヌクレオチド交換因子として機能し望ましくない反応中間体を抑えることが示された。本研究は、多様なプロテインキナーゼファミリーの活性化においてRNAヘリカーゼが作用すること、また、この保存されている作用は、RNAプロセシングと細胞シグナル伝達の関連付けに意味をもつことを実証している。—AEB

要約

DDX RNAヘリカーゼはRNAプロセシングを促進するが、DDX3Xはカゼインキナーゼ1(CK1ε)も活性化する。今回われわれは、その他のDDXタンパク質もCK1εのプロテインキナーゼ活性を刺激し、しかもその作用はカゼインキナーゼ2(CK2)にも及ぶことを明らかにした。CK2の酵素活性は、高い基質濃度において種々のDDXタンパク質により刺激された。In vitroおよびアフリカツメガエル(Xenopus)胚を用いた実験において、完全なキナーゼ活性のためにはDDX1、DDX24、DDX41およびDDX54が必要であった。DDX3Xの変異解析から、CK1およびCK2のキナーゼ刺激にはその触媒性モチーフではなくRNA結合モチーフが関係していることが示された。酵素動態の数学的モデリングおよびストップトフロー分光法から、DDXタンパク質はCK2のヌクレオチド交換因子として機能し、非生産的な反応中間体および基質阻害を軽減することが明らかとなった。本研究により、キナーゼ制御に重要なものとしての、およびDDXタンパク質の一般的な機能としての、ヌクレオチド交換によるプロテインキナーゼ刺激が明らかになった。

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