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運動によって誘導される細胞外メッセージ

Extracellular messaging elicited by exercise

Editor's Choice

SCIENCE SIGNALING
4 Jul 2023 Vol 16, Issue 792
[DOI: 10.1126/scisignal.adj4169]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: wwong@aaas.org

W. Wei, N. M. Riley, X. Lyu, X. Shen, J. Guo, S. H. Raun, M. Zhao, M. D. Moya-Garzon, H. Basu, A. S.-H. Tung, V. L. Li, W. Huang, A. L. Wiggenhorn, K. J. Svensson, M. P. Snyder, C. R. Bertozzi, J. Z. Long, Organism-wide, cell-type-specific secretome mapping of exercise training in mice. Cell Metab. (2023).

マウスにおける複数の細胞種の運動誘導性セクレトームを特徴づける

身体的運動は、生理学的な変化と健康上の利点を媒介する分子の血流への分泌を誘導する。Weiらは、マウスにおける運動誘導性セクレトームの細胞種特異的な特徴を明らかにした。著者らは、単一の細胞種で合成されるすべてのタンパク質をビオチン化するビオチンリガーゼTurboIDをERに限局して発現するマウスを作製した。ほとんど体を動かさないマウスまたは毎日トレッドミル上を走るマウスの血漿中のビオチン化タンパク質のプロテオミクス解析では、運動に応答して分泌量が変化するタンパク質が21細胞種で181種類同定され、そのうち129種類は単一の細胞種に特異的であった。一部のタンパク質では、細胞種に応じて、運動に応答して分泌量が増加することもあれば減少することもあった。運動によって分泌量が変化するタンパク質の数が最も多かったのは、細胞内でのタンパク質のビオチン化がPdgfraプロモーターによって駆動される細胞(線維芽細胞など)であり、複数の組織や器官に分布していた。分泌量の増加が最大であったタンパク質は、CES2カルボキシルエステラーゼCES2A、CES2Cという2つの酵素で、いずれも肝細胞から放出され、以前よりER常在タンパク質として特徴づけられている。運動は循環血液中の乳酸量の増加を引き起こし、初代肝細胞を乳酸に曝露するとCES2タンパク質の細胞外培地への分泌量が増加した。細胞外型CES2AまたはCES2Cを恒常的に発現するマウスは、体重増加、脂肪組織の増大、高脂肪餌による有害な代謝作用から保護された。CES2A変異体を発現するマウスはより高い運動能力を有した一方、CES2C変異体の発現が高脂肪餌による代謝作用を相殺する効果は、運動トレーニングと相加的であった。これらの効果にはCES2AおよびCES2Cの触媒活性が必要であった。これらのデータは、運動に応答して複数の細胞種から分泌されるタンパク質を特徴づけ、運動の有益な効果に関与する2つの肝細胞由来因子を同定するものである。

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