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ホスファターゼRPTPαのクラスター化が滑膜線維芽細胞のSrcシグナル伝達および関節炎誘発作用を促進する

Clustering of phosphatase RPTPα promotes Src signaling and the arthritogenic action of synovial fibroblasts

Research Article

SCIENCE SIGNALING
4 Jul 2023 Vol 16, Issue 792
[DOI: 10.1126/scisignal.abn8668]

Sho Sendo1, †, William B. Kiosses1, 2, †, Shen Yang1, Dennis J. Wu1, Daniel W. K. Lee1, Lin Liu1, Yael Aschner4, Allison J. Vela1, Gregory P. Downey3, 4, 5, 6, 7, Eugenio Santelli1, Nunzio Bottini1, 8, *

  1. 1 Department of Medicine, University of California San Diego, La Jolla, CA, USA.
  2. 2 La Jolla Institute for Immunology, La Jolla, CA, USA.
  3. 3 Division of Pulmonary, Critical Care, and Sleep Medicine, Department of Medicine, National Jewish Health, Denver, CO, USA.
  4. 4 Division of Pulmonary Sciences and Critical Care Medicine, Department of Medicine, University of Colorado, Aurora, CO, USA.
  5. 5 Department of Biomedical Research, National Jewish Health, Denver, CO, USA.
  6. 6 Department of Immunology and Microbiology, University of Colorado, Aurora, CO, USA.
  7. 7 Department of Pediatrics, National Jewish Health, Denver, CO, USA.
  8. 8 Department of Medicine, Kao Autoimmunity Institute, Cedars Sinai Medical Center, Los Angeles, CA, USA.

* Corresponding author. Email: nunzio.bottini@cshs.org

† These authors contributed equally to this work.

Editor's summary

関節炎では滑膜線維芽細胞が関節の組織損傷および隣接組織への浸潤を伴う疾患進行を媒介している。受容体型プロテインチロシンホスファターゼα(RPTPα)は滑膜線維芽細胞の遊走を促進することから、Sendoらは、RPTPαの調節が、チロシンキナーゼSRCにより媒介される下流シグナル伝達および滑膜線維芽細胞の遊走にどのように影響するかを検討した。RPTPαはホモ二量体を形成してSRCとクラスター化し、基底にあるストレスファイバーなどアクチンに富む部位、および遊走細胞の先端部に集中して存在していた。RPTPαのクラスター化を阻害するとSRCの活性化および関節炎マウスモデルにおける関節損傷が抑制された。本研究から、SRCの活性化、滑膜線維芽細胞の遊走および関節炎による関節損傷において、RPTPαの空間的構成が果たす役割が実証された。—Amy E. Baek

要約

受容体型プロテインホスファターゼα(RPTPα)は線維芽細胞依存性の関節炎および線維化を促進し、その一部はキナーゼSRCの活性化の増強によって生じている。関節組織を覆っている滑膜線維芽細胞は炎症および組織損傷を媒介し、隣接組織へのその浸潤によって疾患の進行が促進される。RPTPαには外部ドメインと2つの細胞内触媒ドメイン(D1およびD2)が含まれ、がん細胞内では楔状のD1モチーフに依存して抑制性のホモ二量体を形成している。われわれは、遊走している滑膜線維芽細胞における単一分子の局在性および標識分子相互作用の顕微鏡解析を行い、SRCの活性化、滑膜線維芽細胞の遊走、ならびに関節炎マウスモデルの関節損傷におけるRPTPα二量体化の役割を検討した。RPTPαは、アクチンに富む構造体の中で他のRPTPαおよびSRC分子とクラスター化していた。楔状モチーフにおける既知の二量体化抑制性変異(P210L/P211L)およびD2ドメインの欠失により、RPTPα-RPTPαのクラスター化は減少したが、予想外なことにRPTPα-SRCの会合も減少した。同じ変異によって、アクチンに富む構造へのRPTPα動員も減少し、SRCの活性化および細胞遊走も抑制された。RPTPαのクラスター化を阻害する抗RPTPα外部ドメイン抗体は、RPTPα-SRC会合およびSRC活性化も阻害し、線維芽細胞の遊走および関節炎マウスにおける関節損傷を減弱した。触媒活性を失わせるRPTPα-C469S変異はマウスを関節炎から保護し、滑膜線維芽細胞におけるSRC活性化を抑制した。以上によりわれわれは、RPTPαのクラスター化はアクチンに富む構造へのRPTPαの動員を保持し、SRCを介した線維芽細胞の遊走を促進すること、さらには細胞外ドメインを介してそのクラスター化を調節できると結論付けた。

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