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炎症誘発性アポトーシス
Proinflammatory apoptosis
SCIENCE SIGNALING
14 Nov 2023 Vol 16, Issue 811
[DOI: 10.1126/scisignal.adm8181]
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA. Email: avanhook@aaas.org
K. Duszyc, J. B. von Pein, D. Ramnath, D. Currin-Ross, S. Verma, F. Lim, M. J. Sweet, K. Schroder, A. S. Yap, Apical extrusion prevents apoptosis from activating an acute inflammatory program in epithelia. Dev. Cell 58, 2235-2248.e6 (2023).
上皮から除去できないアポトーシス細胞はATPを放出することにより炎症を引き起こす。
アポトーシスは一般に、炎症誘発性細胞内因子の放出を伴うネクロトーシスやピロトーシスなどの溶解型の細胞死とは対照的に、プログラムされた細胞死の非炎症型であると考えられている。アポトーシスを起こしている上皮細胞は、頂端押し出しと呼ばれる過程で上皮の外に押し出される。この過程により、アポトーシス細胞死が上皮の外側で進行する間、上皮バリアが維持される。Duszycらは、ゼブラフィッシュ表皮のアポトーシス細胞が、頂端の押し出しに失敗すると炎症を引き起こすことを発見した。魚胚において頂端押し出しが薬理学的に遮断されると、レーザー照射によってアポトーシスを起こすように誘導された表皮細胞が上皮内に保持され、好中球の動員が刺激された。魚でのin vivo実験と、ヒト好中球および結腸上皮Caco-2細胞でのin vitro実験では、上皮に捕捉されたアポトーシス細胞から放出されたATPが、隣接する健康な細胞上のP2Y11プリン作動性受容体を刺激することが示された。これにより、隣接する細胞がインターロイキン-8(IL-8)を放出し、その部位への好中球の遊走が刺激された。著者らは、好中球の動員は、アポトーシス細胞の除去を確実にするため、または、頂端押し出しが死にかけている細胞を追い出すことによって上皮バリアを維持できない場合に、潜在的な微生物の侵入から防御するためのバックアップ機構である可能性を示唆している。これらの知見は、アポトーシス細胞死が常に免疫学的に沈黙しているわけではないことを示している。