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警告を発するアラーミンによるリンパ球系の発達

Alarmin’ lymphoid developments

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SCIENCE SIGNALING
28 Jan 2025 Vol 18, Issue 871
DOI: 10.1126/scisignal.adw1930

Amy E. Baek

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA.

Corresponding author. Email: abaek@aaas.org

M. Amisaki, A. Zebboudj, H. Yano, S. L. Zhang, G. Payne, A. K. Chandra, R. Yu, P. Guasp, Z. M. Sethna, A. Ohmoto, L. A. Rojas, C. Cheng, T. Waters, A. Solovyov, S. Martis, A. S. Doane, C. Reiche, E. M. Bruno, M. Milighetti, K. Soares, Z. Odgerel, J. A. Moral, J. N. Zhao, M. Gönen, R. Gardner, A. V. Tumanov, A. G. Khan, O. Vergnolle, E. K. Nyakatura, I. C. Lorenz, M. Baca, E. Patterson, B. Greenbaum, D. Artis, T. Merghoub, V. P. Balachandran, IL-33-activated ILC2s induce tertiary lymphoid structures in pancreatic cancer. Nature, 10.1038/s41586-024-08426-5 (2025).

起炎因子(アラーミン)サイトカインIL-33が、さもなくば「コールド(非炎症性)」となっていた腫瘍内で免疫ハブの形成を刺激する。

慢性炎症は、炎症組織内に新規に形成されて免疫応答を促進する三次リンパ組織様構造(TLS)の発達を刺激する。TLSの誘導は、免疫細胞の浸潤が乏しいせいで免疫療法による介入に抵抗性を示す状況にある腫瘍(免疫学的にコールドな[非炎症性]腫瘍と称される)では望ましい。Amisakiらは、膵管腺がん(PDAC)のTLS転写シグネチャーと正の関連を示す遺伝子を初めて同定した。アラーミンをコードするIL33の発現は、これらのシグネチャーと相関し、PDACおよび大腸炎のマウスモデルにおいてTLSの誘導に必要だった。IL-33の組換えアラーミンドメインを投与されたPDAC担がんマウスでは腫瘍内TLSが発達し、腫瘍内T細胞浸潤量が増加していた。組換えIL-33は、Klrg1を発現する2型自然リンパ球系細胞(ILC2)サブセットの増殖を引き起こすことができたが、ILC2を欠損させるとTLS量が減少した。マウスに組換えヒトIL-33を遺伝子導入すると、同じILC2集団が増殖し、TLS量が増加し、PDAC腫瘍量が減少した。これらの知見は、アラーミンと自然リンパ球系細胞集団がTLSの生成を引き起こしうることと、アラーミンによるTLS形成が免疫療法戦略について情報をもたらす可能性があることを示唆している。

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2025年1月28日号

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