RNA構造
低温でオンになる

RNA Structure
Turned On by the Cold

Editor's Choice

Sci. Signal., 26 January 2010
Vol. 3, Issue 106, p. ec26
[DOI: 10.1126/scisignal.3106ec26]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

温度の変化は、生体分子の構造を変えることによって、細胞損傷を引き起こす可能性がある。そのため、原核生物と真核生物は、変化する環境条件化で生 き残るために、温度変化を感知して適応する機構を発達させてきた。大腸菌(Escherichia coli)では、低温が一群の低温ショック遺伝子の誘導を引き起こす。その中でもCspAをコードする遺伝子は、主に転写後機構を介して最も初期に誘導さ れるものの1つである。Giuliodoriらは、酵素的および化学的なアクセシビリティアッセイと温度勾配ゲル電気泳動を用いて、cspA mRNAが10℃または20℃では、37℃とは異なる構造をとることを示した。彼らは、そのような構造の差が生じるためにはコード領域が必要であり、5’ 非翻訳領域のみを有する短縮型のmRNAでは差が認められないことを発見した。37℃では、mRNAが翻訳開始コドンとリボソーム結合部位(Shine- Dalgarno配列で表される)への接近を制限するコンホメーションをとるのに対して、10℃または20℃では、これらの領域が酵素的切断または化学的 付加を受けやすくなった。変異解析の結果は構造モデルと一致した。さらに、in vitroのリボソーム結合アッセイと翻訳アッセイによって、低温で安定化されたmRNAは、37℃で折りたたまれているmRNAと比べて、より効率的に リボソームと開始tRNAに結合するとともに、より迅速にタンパク質を翻訳することが示された。このように、cspA mRNAは低温センサーの役割を果たし、自らコードするタンパク質CspAを、低温への適応応答における最初の応答分子として機能させている (Breakerの解説参照)。

A. M. Giuliodori, F. Di Pietro, S. Marzi, B. Masquida, R. Wagner, P. Romby, C. O. Gualerzi, C. L. Pon, The cspA mRNA is a thermosensor that modulates translation of the cold-shock protein CspA. Mol. Cell. 37, 21-33 (2010). [Online Journal]

R. R. Breaker, RNA switches out in the cold. Mol. Cell 37, 1-2 (2010). [Online Journal]

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