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がん
切除療法の免疫合併症

Cancer
Immune Complications of Ablation Therapy

Editor's Choice

Sci. Signal., 16 March 2010
Vol. 3, Issue 113, p. ec77
[DOI: 10.1126/scisignal.3113ec77]

Nancy R. Gough

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

アンドロゲン依存性前立腺がんの一般的な治療には、前立腺切除、放射線照射、アンドロゲンの機能を遮断するためのホルモン療法がある。残念ながら、 多くの患者は、転移性アンドロゲン非依存性、すなわち「去勢抵抗性」のがんを発症する。免疫系および炎症応答は、腫瘍形成および転移と関連付けられている ことから、Ammirante らは、マウスにおいて、去勢抵抗性前立腺がんの発症における炎症性シグナル伝達および免疫系の役割について検討した。彼らは、前立腺がんのマウスモデルで は、炎症促進性転写因子NF-κBの活性化に関与するキナーゼであるIKK-βをコードする遺伝子を前立腺上皮細胞においてノックアウトしても、アンドロ ゲン依存性腫瘍の初期段階の発達およびその後の去勢抵抗性がんの出現は影響を受けないことを発見した。対照的に、骨髄由来細胞(免疫細胞)におけるNF- κBシグナル伝達の選択的ノックアウトは、マウス前立腺がんモデルにおける去勢抵抗性がんの発症を遅延させた。去勢マウスの退行性腫瘍では、すべてのタイ プの免疫細胞が認められたが、B細胞の浸潤を遮断する処理ないし遺伝学的実験のみが去勢抵抗性がんの発症を遅延させた。B細胞を含む免疫細胞は、分析され たすべてのヒト前立腺がん検体に認められたが、正常前立腺や良性の肥大前立腺の検体には存在しなかった。ケモカインCXCL213を遮断する抗体を用い て、腫瘍へのB細胞の動員を抑制すると、リンホトキシン-β(腫瘍壊死因子ファミリーの一員)の存在量が減少し、前立腺がん細胞におけるリンホトキシン -β受容体の遮断、あるいは受容体のサイレンシングによって、去勢抵抗性がんの発症が遅延した。このように、死にしつつあるがん細胞によって開始された炎 症応答は、アンドロゲン抵抗性腫瘍細胞の生存を促進する因子を放出する免疫細胞を動員することによって、治療効果の喪失の一因となると考えられる。

M. Ammirante, J.-L. Luo, S. Grivennikov, S. Nedospasov, M. Karin, B-cell-derived lymphotoxin promotes castration-resistant prostate cancer. Nature 464, 302-305 (2010). [PubMed]

N. R. Gough, Immune Complications of Ablation Therapy. Sci. Signal. 3, ec77 (2010).

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