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機能欠失スクリーニングがChlamydia trachomatis感染中のRasおよびRaf非依存性MEK-ERKシグナル伝達を明らかにする

A Loss-of-Function Screen Reveals Ras- and Raf-Independent MEK-ERK Signaling During Chlamydia trachomatis Infection

Research Article

Sci. Signal., 16 March 2010
Vol. 3, Issue 113, p. ra21
[DOI: 10.1126/scisignal.2000651]

Rajendra Kumar Gurumurthy1*, Andr? P. M?urer1*, Nikolaus Machuy1*, Simone Hess1†, Klaus P. Pleissner2, Johannes Schuchhardt3, Thomas Rudel1‡, and Thomas F. Meyer

1 Department of Molecular Biology, Max Planck Institute for Infection Biology, 10117 Berlin, Germany.
2 Core Facility Bioinformatics, Max Planck Institute for Infection Biology, 10117 Berlin, Germany.
3 MicroDiscovery GmbH, 10405 Berlin, Germany.

* These authors contributed equally to this work.

† Present address: Hannover Medical School, 30625 Hannover, Germany.

‡ Present address: Department of Microbiology, Biocenter, University of Wurzburg, 97074 Wurzburg, Germany.

§ To whom correspondence should be addressed. E-mail: meyer@mpiib-berlin.mpg.de

要約:クラミジアは、ヒトの健康に大きな影響をもつ偏性細胞内病原性微生物である。宿主と関わりが密接であるので、クラミジアは宿主細胞の多様な機能に依存して生存する。本稿では、ヒト上皮細胞におけるRNA干渉に基づくスクリーニングによって、Chlamydia trachomatisCtr、 トラコーマクラミジア)の複製に対して正または負のいずれかの影響を与える宿主因子59個を同定したことを示す。標準的なRas-Raf- MEK(mitogen-activated or extracellular signal-regulated protein kinase kinase、マイトジェン活性化または細胞外シグナル制御プロテインキナーゼキナーゼ)-ERK(extracellular signal-regulated kinase、細胞外シグナル制御キナーゼ)経路の構成要素であるK-RasとRaf-1という2つの因子が、今回のスクリーニングによる適中遺伝子群と 関連するシグナル伝達網の中心的な構成要素として同定された。HeLa細胞においてRasまたはRafを欠損させると、病原菌の増殖が亢進した。機構解析 によって、ERKがK-RasやRaf-1には依存せずに活性化されることがわかった。Ctrの感染は、Raf-1の259番目のセリ ンのAkt依存的リン酸化(不活性化)を亢進させた。さらに、リン酸化されたRaf-1は、Aktと14-3-3βに依存して、細胞質から細胞内の細菌の 封入体へと再局在化した。まとめると、今回の知見は、クラミジアが宿主細胞の重要なシグナル伝達経路を調節することを示すとともに、その調節がどのように 行われているのかについての推定機構を提供している。

R. K. Gurumurthy, A. P. M?urer, N. Machuy, S. Hess, K. P. Pleissner, J. Schuchhardt, T. Rudel, T. F. Meyer, A Loss-of-Function Screen Reveals Ras- and Raf-Independent MEK-ERK Signaling During Chlamydia trachomatis Infection. Sci. Signal. 3, ra21 (2010).

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