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TCRシグナル伝達
力を利用する

TCR Signaling
Uses the Force

Editor's Choice

Sci. Signal., 25 May 2010
Vol. 3, Issue 123, p. ec155
[DOI: 10.1126/scisignal.3123ec155]

John F. Foley

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

T細胞受容体(TCR)は、抗原提示細胞(APC)の表面にある主要組織適合性複合体(MHC)が提示する抗原ペプチドによって活性化される。 TCRの会合が、会合しているCD3サブユニット中のチロシン残基のリン酸化を引き起こし、それによってT細胞の活性化を誘導するアダプタータンパク質や 細胞内Ca2+などのシグナル伝達分子の活性化が起こる。これまでの研究から、TCR応答の調節には機械的な力が何らかの働きをす る可能性が示唆されていたので、LiらはTCRが機械的刺激に対して感受性かあるどうかについて検討した。著者らは、その表面にCD3に対する刺激性抗体 (CD3L)をもつ人工APCを作製した。その際に、スペーサー分子を用いて様々な長さをもつCD3Lを作製した。T細胞はCD3Lの長短にかかわらず APCに結合したが、蛍光顕微鏡法によって細胞内Ca2+を測定して評価したところ、短いCD3LをもつAPCのみがT細胞を活性化することができた。しかし、マイクロピペットにより弱い垂直方向のせん断力を加えたとき、長いCD3LをもつAPCに結合したT細胞内でCa2+応答が発生した。TCR以外の受容体に対する抗体を介してAPCまたはカバースリップに結合したT細胞に、せん断応力を加えたとき、Ca2+の流入は生じなかった。長いCD3LをもつAPCに結合したT細胞は、マイクロピペットを使ってAPCから物理的に引き離されたときにもCa2+応答を示した。これらのデータは、T細胞がシグナル伝達の開始によってTCRを介する物理的刺激に応答できることを示唆する。

J. F. Foley, Uses the Force. Sci. Signal. 3, ec155 (2010).

Y.-C. Li, B.-M. Chen, P.-C. Wu, T.-L. Cheng, L.-S. Kao, M.-H. Tao, A. Lieber, S. R. Roffler, Cutting edge: Mechanical forces acting on T cells immobilized via the TCR complex can trigger TCR signaling. J. Immunol. 184, 5959-5963 (2010). [PubMed]

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2010年5月25日号

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