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WNTとFGFのシグナル伝達のバランスが骨格発達の際に間葉系幹細胞運命を左右する

The Balance of WNT and FGF Signaling Influences Mesenchymal Stem Cell Fate During Skeletal Development

Research Article

Sci. Signal., 25 May 2010
Vol. 3, Issue 123, p. ra40
[DOI: 10.1126/scisignal.2000727]

Takamitsu Maruyama1, Anthony J. Mirando1, Chu-Xia Deng2, and Wei Hsu1,3*

1 Department of Biomedical Genetics, Center for Oral Biology, University of Rochester Medical Center, Rochester, NY 14642, USA.
2 Genetics of Development and Disease Branch, National Institute of Diabetes, Digestive and Kidney Diseases, National Institutes of Health, Bethesda, MD 20892, USA.
3 James Wilmot Cancer Center, University of Rochester Medical Center, Rochester, NY 14642, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: wei_hsu@urmc.rochester.edu

要約:頭蓋骨間隙(縫合線)の早期閉鎖にに起因する発達障害である頭蓋骨融合症は、軟骨鋳型 の形成(軟骨形成)を伴わない骨形成の一種である、過剰な膜内骨化が原因である。本稿では、間葉系幹細胞の軟骨細胞への運命転換によって生じる、軟骨中間 層を介して進行する骨形成の一種である軟骨内骨化も頭蓋骨融合症の原因となることを示す。マウスにおいて、WNT-β-カテニン経路の負の調節因子Axin2の ノックアウト、および線維芽細胞増殖因子(FGF)受容体1(FGFR1)の活性化低下が同時に起こると、異所性軟骨形成が誘発され、異常な縫合線形態形 成および融合をもたらす。遺伝子解析の結果、β-カテニンの活性化はFGFR1と連動して間葉系幹細胞の系統分化を変更させて、軟骨を形成する軟骨細胞へ と分化させた。WNT-β-カテニン経路は再生および増殖を調節することによって、直接的に幹細胞集団を制御し、FGFと骨形成タンパク質の経路のバラン スを設定することによって、間接的に系統特異化を調節した。この研究によって、軟骨内骨化が発達中の縫合線閉鎖の機構であることが確認され、頭蓋骨融合症 にこの過程が関与することが示唆された。

T. Maruyama, A. J. Mirando, C. X. Deng, W. Hsu, The Balance of WNT and FGF Signaling Influences Mesenchymal Stem Cell Fate During Skeletal Development. Sci. Signal. 3, ra40 (2010).

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2010年5月25日号

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