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Sci. Signal., 26 April 2011
Vol. 4, Issue 170, p. ec114
[DOI: 10.1126/scisignal.4170ec114]

Elizabeth M. Adler

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

小胞体(ER)ストレス応答は、腫瘍細胞およびマクロファージにおいて炎症誘発性サイトカインの産生を伴い、がんの進行および腫瘍の成長と関連付けられている。炎症自体が悪性化形質転換およびがんの進行と関連付けられたことに注目し、Mahadevanらは、ERストレスは、腫瘍細胞がマクロファージにシグナルを送り、炎症性微小環境を促進する機構的な結び付きを提供するという仮説を探求した。ERストレスを受けている腫瘍細胞株(タプシガルジン処理またはグルコース欠乏に応答した)に由来する培養上清は、マクロファージ[J744細胞または骨髄由来マクロファージ(BMDM)]において、ERストレス応答遺伝子をコードする転写産物の存在量の増加とともに、Xbp-1スプライシング(これもERストレスを示す)の増加を促進した。このような培地に曝露したマクロファージも、CD86(活性化を示す)の存在量および炎症誘発性サイトカインをコードする転写産物の存在量の増加、炎症誘発性サイトカインの分泌増加を示した。Toll様受容体2(TLR2)またはインターロイキン-6受容体(IL-6R)を欠損したBMDMでは、ERストレス培養上清に対する反応が低下しなかった。TLR2は、ERストレスにより発現上昇し、腫瘍由来バーシカンによるマクロファージ活性化と関連付けられている。IL-6Rは、がん細胞とマクロファージによって分泌された炎症誘発性サイトカイン(IL-6)を認識する。したがって、TLR2およびIL-6RはいずれもERストレス応答の伝達を媒介しないと考えられた。対照的に、TLR4を欠損したBMDMでは、ERストレス培養上清に反応した、炎症誘発性サイトカインまたはERストレス応答遺伝子Grp78Gadd34、およびChopをコードする転写産物の存在量の増加が減弱しており、これは、TLR4リガンドであるリポ多糖と同時処理することで増強された。マウス肝臓では、腫瘍ERストレス培養上清の腹腔内投与により、Grp78ChopXbp-1、およびスプライシングされたXbp-1の増加が刺激された。したがって、著者らは、ERストレスを受けている腫瘍細胞から放出される因子により、ERストレスがマクロファージに伝達されることが可能になり、このことが、腫瘍の進行を促進する炎症性微小環境に寄与すると結論付けている。

N. R. Mahadevan, J. Rodvold, H. Sepulveda, S. Rossi, A. F. Drew, M. Zanetti, Transmission of endoplasmic reticulum stress and pro-inflammation from tumor cells to myeloid cells. Proc. Natl. Acad. Sci. U.S.A. 108, 6561-6566 (2011). [Abstract] [Full Text] 

E. M. Adler, Stressing Out Your Neighbors. Sci. Signal. 4, ec114 (2011).

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2011年4月26日号

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