代謝
絶食時のアセチル化

Metabolism
Acetylate During Fasting

Editor's Choice

Sci. Signal., 15 November 2011
Vol. 4, Issue 199, p. ec316
[DOI: 10.1126/scisignal.4199ec316]

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

A. S. Banks, J. Y. Kim-Muller, T. L. Mastracci, N. M. Kofler, L. Qiang, R. A. Haeusler, M. J. Jurczak, D. Laznik, G. Heinrich, V. T. Samuel, G. I. Shulman, V. E. Papaioannou, D. Accili, Dissociation of the glucose and lipid regulatory functions of FoxO1 by targeted knockin of acetylation-defective alleles in mice. Cell Metab. 14, 587–597 (2011). [PubMed]

転写因子のFoxOファミリーは、代謝状態に対する遺伝子発現の変化を媒介する。FoxO1の活性は、少なくとも7つのリジン残基のアセチル化によって低下し、FoxO1のアセチル化は絶食動物では抑制され、絶食後に再給餌を受けた動物において亢進する。Banksらは、恒常的にアセチル化されたFoxO1を模倣するようにリジン残基をグルタミンで置換した変異体をコードする組換えFoxo1対立遺伝子を有するノックインマウス(Foxo1KQ/KQがマウス)、あるいは恒常的脱アセチル化FoxO1を模倣するようにリジン残基をアルギニンで置換した変異体をコードする組換えFoxo1対立遺伝子をもつノックインマウス(Foxo1KR/KRマウス)を作製した。Foxo1KQ/KQの胚は、脈管形成が障害され、子宮内で死亡した。Foxo1KR/KRマウスは生存可能であったが、野生型マウスに比べてグルコース代謝が障害されており、絶食後と再給餌後のグルコース濃度とインスリン濃度が上昇しており、肝でのグルコース産生が亢進していた。対照的に、Foxo1KR/KRマウスでは脂質代謝が改善し、血漿中の遊離脂肪酸、トリグリセリド、および総コレステロール濃度が減少していた。Foxo1KR/KRマウスでは肝臓の糖新生に関わる酵素をコードする遺伝子の発現が亢進しており、さらに脂質酸化の亢進を示唆するような脂質代謝に関わるタンパク質をコードする遺伝子発現の変化パターンを示していた。Foxo1KR/KRマウスは、高脂肪餌を摂取させると、同腹子の対照マウスに比べて体重と脂肪量が増大し、db/dbマウス(肥満モデル)と交配させると、対照に比べてより体重が増加した。ただし、いずれのマウスもインスリン抵抗性や糖尿病発症傾向の低下は示さなかった。呼吸交換率、自発運動活性、およびエネルギー消費について解析したところ、Foxo1KR/KRマウスはエネルギー源としてグルコースよりも脂質に大きく依存していることが示唆された。他の翻訳後修飾もFoxO1を不活性化するので、著者らは、長期の絶食状態ではアセチル化がFoxO1を不活性化する「安全装置」機構であり、エネルギー源としての脂質の利用を促進している可能性がある、と提案している。

W. Wong, Acetylate During Fasting. Sci. Signal. 4, ec316 (2011).

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2011年11月15日号

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絶食時のアセチル化

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