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進化
分割されたコアクチベーター
Evolution
A Coactivator Divided
Sci. Signal., 15 May 2012
Vol. 5, Issue 224, p. ec134
[DOI: 10.1126/scisignal.2003213]
Annalisa M. VanHook
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
C. Chauhan, C. B. Zraly, M. Parilla, M. O. Diaz, A. K. Dingwall, Histone recognition and nuclear receptor co-activator functions of Drosophila Cara Mitad, a homolog of the N-terminal portion of mammalian MLL2 and MLL3. Development 139, 1997-2008 (2012). [Abstract] [Full Text]
核内受容体は、標的遺伝子の発現を調節するために、核内受容体との相互作用によってプロモーターに動員されるコアクチベーターやコリプレッサーと協力する。混合型白血病2(mixed-lineage leukemia 2:MLL2)とMLL3は、哺乳類の核内受容体コアクチベーターであり、ヒストンメチルトランスフェラーゼ(Set)ドメイン、HMG-I結合ドメイン、核内受容体結合ドメイン、5つの亜鉛フィンガーなどの、保存された配列領域を数多く有する。これらのMLLは、いくつかの状況において核内受容体を介する遺伝子調節に必要なCOMPASS(complex proteins associated with Set1(Set1会合複合体タンパク質群))様コアクチベーター複合体の一部である。Trithorax関連(Trithorax-related:TRR)は、キイロショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)においてこれらのタンパク質にもっとも近いタンパク質であるが、哺乳類の対応するタンパク質に比べてはるかに小さく、MLLのC末端のヒストンメチルトランスフェラーゼドメインにのみ相同性を示す。Chauhanらは、ショウジョウバエのゲノムを検索し、MLL2とMLL3のN末端の半分に相同なタンパク質をコードする遺伝子を発見し、cara mitad(cmi)と名付けた。このタンパク質は、いくつかの亜鉛フィンガーモチーフ、HMG-I結合ドメイン、核内受容体結合モチーフと推定されるモチーフを含む。著者らは、イソギンチャク、線虫、甲虫においてMLLのホモログを単一遺伝子がコードすることを同定した。このことは、祖先のMLL遺伝子が、ハエ系統において分割されたことを示唆する。変異解析、RNA干渉、および遺伝子相互作用実験では、CMIがTRRと協力して、発生過程でのステロイドホルモンであるエクジソンに対する応答を仲介することが示され、エクジソン応答遺伝子の誘導は培養細胞とin vivoにおいてcmiをノックダウンすると低下した。エクジソン受容体(EcR)のヘテロ二量体のパートナーをコードするultraspiracle(usp)をノックダウンすると、翅においてcmiの過剰発現により誘導される表現型が回復した。CMIは、in vivoレポーターアッセイにおいて、USPおよびEcRとともに転写コアクチベーターとして作用し、in vivoでエクジソンによる調節をうける内因性プロモーターに動員され、in vitroでTRR、EcRおよびUSPと複合体を形成した。さらにCMIは、in vitroでヒストンH3に結合し、TRRを介するヒストンメチル化と、哺乳類COMPASS様複合体に存在するUTXのハエ相同分子を介するヒストン脱メチル化に必要であった。CMIの活性は、ハエCOMPASS様複合体のその他の推定上の構成要素の存在に依存したことから、この複合体の構成要素は、ハエにおいて哺乳類での機能と同様の方法で、協調的に働くことが示唆された。CMIとTRRをコードする遺伝子は別々の染色体に位置するが、これらのタンパク質が合わさって完全な核内受容体コアクチベーター機能を再構成するようである。
A. M. VanHook, A Coactivator Divided. Sci. Signal. 5, ec134 (2012).