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糖尿病におけるVEGFへの応答を阻害する

Inhibiting the Response to VEGF in Diabetes

Perspectives

Sci. Signal., 7 January 2014
Vol. 7, Issue 307, p. pe1
[DOI: 10.1126/scisignal.2004996]

Junji Moriya and Napoleone Ferrara*

Moores Cancer Center, University of California, San Diego, 3855 Health Sciences Drive, La Jolla, CA 92093, USA.

* Corresponding author. E-mail: nferrara@ucsd.edu

要約

 血管内皮増殖因子(VEGF)–VEGF受容体2(VEGFR2)シグナル伝達軸の阻害は、糖尿病に伴う内皮機能障害と重篤な血管合併症に関与している可能性がある。今週号でWarrenらは、糖尿病の内皮細胞においてVEGFへの応答の障害に関与する、リガンド非依存性、受容体チロシンキナーゼ非依存性のVEGFR2シグナル伝達経路を同定した。高血糖状態によって生じる活性酸素種(ROS)により、リガンド非依存的に、VEGFR2の活性化とその後の分解が促進された。その結果、細胞表面でのVEGFR2の枯渇によって、VEGF-VEGFR2シグナル伝達が阻害された。このリガンド非依存性ROS誘導性VEGFR2シグナル伝達の活性化は、Srcファミリーのキナーゼによって仲介され、内皮細胞のゴルジ体領域で発生した。抗酸化物質によってROS産生を阻害すると、高血糖時の細胞表面でのVEGFR2欠乏が有効に改善された。これらの結果から、ROS誘導性VEGFR2シグナル伝達は、糖尿病における血管疾患に対する治療の新たな標的として、有望である可能性が示唆される。

J. Moriya, N. Ferrara, Inhibiting the Response to VEGF in Diabetes. Sci. Signal. 7, pe1 (2014).

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