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糖尿病においてリガンド非依存性VEGFR2シグナル伝達経路は血管形成反応を制限する

A Ligand-Independent VEGFR2 Signaling Pathway Limits Angiogenic Responses in Diabetes

Research Article

Sci. Signal., 7 January 2014
Vol. 7, Issue 307, p. ra1
[DOI: 10.1126/scisignal.2004235]

Carmen M. Warren1, Safiyyah Ziyad1, Anaïs Briot1, Aaron Der1, and M. Luisa Iruela-Arispe1,2*

1 Department of Molecular, Cell and Developmental Biology, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA 90095, USA.
2 Molecular Biology Institute, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA 90095, USA.

* Corresponding author. E-mail: arispe@mcdb.ucla.edu

要約:

血管合併症は、糖尿病の特徴であるが、内皮機能障害の根底にある分子的機構は明らかになっていない。われわれは、高血糖から生成された活性酸素種が、血管内皮増殖因子受容体2(VEGFR2)のリガンド非依存性リン酸化を促進することを示した。このVEGFR2シグナル伝達はゴルジコンパートメント内で生じ、その結果、細胞表面のVEGFR2の利用可能性が徐々に減少した。結果的に、糖尿病のマウスモデルにおいて、転写産物の存在量は変化しないにもかかわらず、細胞表面でVEGFR2が特異的に欠乏するため、外因性VEGFに対する内皮細胞の反応が障害された。高血糖誘導性のVEGFR2リン酸化は、内因性の受容体キナーゼ活性を必要とせず、代わりにSrcファミリーキナーゼにより媒介された。糖尿病マウスにおける細胞表面のVEGFR2存在量の減少は、抗酸化薬N-アセチル-L-システインで処理すると逆転したことから、酸化ストレスが原因となる役割を果たすことが示唆された。これらの結果から、外因性のVEGFに対する反応の持続的な減弱を徐々にもたらし、血管形成イベントを制限しうる、リガンド非依存性VEGFR2シグナル伝達の様式が明らかになる。

C. M. Warren, S. Ziyad, A. Briot, A. Der, M. L. Iruela-Arispe, A Ligand-Independent VEGFR2 Signaling Pathway Limits Angiogenic Responses in Diabetes. Sci. Signalï. 7, ra1 (2014).

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