GPCR二量体は崩壊する

GPCR Dimers Fall Apart

Perspectives

Sci. Signal., 30 March 2010
Vol. 3, Issue 115, p. pe12
[DOI: 10.1126/scisignal.3115pe12]

Nevin A. Lambert*

Department of Pharmacology and Toxicology, Medical College of Georgia, Augusta, GA 30912-2300, USA.

* Corresponding author. E-mail: nlambert@mcg.edu

要約:Gタンパク質共役受容体(GPCR)は、7回膜貫通型受容体(7TMR)としても知られ、多様な感覚シグ ナルおよび非感覚シグナルを伝達する。これらの受容体が互いに会合してホモ二量体あるいはヘテロ二量体として、あるいは高次のオリゴマーとして存在するこ とは、今では広く受け入れられている。このような認識から、GPCRの四次構造やGPCRオリゴマーの機能について次のように多くの疑問が提起される。す なわち、1つのプロトマーに結合しているリガンドは、会合中の別のプロトマーにどのように影響を及ぼすのか。下流のシグナル伝達分子を活性化する機能単位 はどれなのか。プロトマー間のインターフェースを形成するのは受容体のどの部分か。合成から分解に至る経路のどの段階でオリゴマーは形成されるのか。オリ ゴマーは果たして解離するのか。最近まで、この最後の疑問が注目を集めることはほとんどなく、GPCRの二量体やオリゴマーは安定した構造であると一般に 考えられてきた。しかし、現在、生物物理学的研究がこの疑問に取り組みはじめており、解き明かされつつあるその答えは、安定二量体モデルの再評価を求める 内容になるだろう。

N. A. Lambert, GPCR Dimers Fall Apart. Sci. Signal. 3, pe12 (2010).

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