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ショウジョウバエ(Drosophila)において成長異常が「思春期」を遅らせる仕組み
How Growth Abnormalities Delay "Puberty" in Drosophila
Sci. Signal., 19 June 2012
Vol. 5, Issue 229, p. pe27
[DOI: 10.1126/scisignal.2003238]
Iswar K. Hariharan*
Department of Molecular and Cell Biology, University of California, Berkeley, 361 LSA, Berkeley, CA 94720-3200, USA.
* Corresponding author. E-mail, ikh@berkeley.edu
概要:ハエ、両生類、哺乳類などの多様な生物において、変態や思春期のような発生上の主要な変化は、特定のホルモンによって引き起こされる。次の段階へと進むためにホルモンを必要とするおかげで、生物は、発達速度が少しずつ異なる可能性のある複数の臓器のあいだでの発達の時間的連動を確立することができる。さらに、生物は、ある器官の成長に異常または遅延がみられる場合には、このような発生の変化を遅らせるための機構を進化させてきたようだ。ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)で得られた新たな証拠は、インスリンとリラキシンのファミリーに属するタンパク質DILP8が、成虫原基の成長を変化させるいくつかの状況下で変態の開始を遅らせることを示している。成長の変化や組織の炎症が思春期を遅らせる可能性のあるヒトの疾病状態においても、同様の機構が作動しているかもしれない。
I. K. Hariharan, How Growth Abnormalities Delay "Puberty" in Drosophila. Sci. Signal. 5, pe27 (2012).