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イノシトール脂質キナーゼIPMKによる核内受容体−PIP2複合体の直接的な修飾および活性化

Direct Modification and Activation of a Nuclear Receptor–PIP2 Complex by the Inositol Lipid Kinase IPMK

Research Article

Sci. Signal., 19 June 2012
Vol. 5, Issue 229, p. ra44
[DOI: 10.1126/scisignal.2003111]

Raymond D. Blind, Miyuki Suzawa, and Holly A. Ingraham*

Department of Cellular and Molecular Pharmacology, Mission Bay Campus, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94158, USA.

* To whom correspondence should be addressed. E-mail: holly.ingraham@ucsf.edu

要約:ホスファチジルイノシトール4,5-ビスリン酸(PIP2)は、細胞膜に結合している調節性脂質としてもっとも良く知られている。PIP2とホスホイノシチド修飾酵素は核内に共存しているが、核におけるそれらの役割ははっきりしていない。われわれは、イノシトールキナーゼおよびホスホイノシチド3-キナーゼ(PI3K)のいずれとしても機能するイノシトールポリリン酸マルチキナーゼ(IPMK)が、核内受容体のステロイド産生因子1(SF-1)と相互作用し、その結合リガンドであるPIP2をリン酸化することを示した。In vitro研究から、PIP2がSF-1の大きな疎水性ポケットから追い出されるか、あるいはそのポケットへの結合が遮断されると、PIP2はIPMKによってリン酸化されないこと、およびSF-1に結合しているPIP2をリン酸化する能力は、IPMKに特異的であり、1型p110 PI3Kにはその能力がないことが示された。IPMKによって産生されたSF-1−PIP3(ホスファチジルイノシトール3,4,5トリスリン酸)は、脂質ホスファターゼのPTENによって脱リン酸化された。SF-1-PIPnに対するIPMKおよびPTENのin vitroでの活性と一致して、SF-1の転写活性は、IPMKのサイレンシングまたはPTENの過剰発現によって低下した。脂質キナーゼおよびホスファターゼが非膜タンパク質−脂質複合体を直接再構築して、その活性を変化させるこの能力から、核内で脂質を介するシグナル伝達を促進するこれまで認識されていなかった経路が確立される。

R. D. Blind, M. Suzawa, H. A. Ingraham, Direct Modification and Activation of a Nuclear Receptor-PIP2 Complex by the Inositol Lipid Kinase IPMK. Sci. Signal. 5, ra44 (2012).

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