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E-カドヘリン–陽性トリプルネガティブ乳がんにおいてβ1インテグリンの阻害はTGFβ–miR-200–ZEBネットワークを介して転移促進への切り替えを誘発する

β1 Integrin Inhibition Elicits a Prometastatic Switch Through the TGFβ–miR-200–ZEB Network in E-Cadherin–Positive Triple-Negative Breast Cancer

Research Article

Sci. Signal., 11 February 2014
Vol. 7, Issue 312, p. ra15
[DOI: 10.1126/scisignal.2004751]

Hoa H. Truong1*, Jiangling Xiong1*, Veerander P. S. Ghotra1, Ella Nirmala1, Lizette Haazen1, Sylvia E. Le Dévédec1, Hayri E. Balcioglu1, Shuning He2, B. Ewa Snaar-Jagalska2, Erno Vreugdenhil3, John H. N. Meerman1, Bob van de Water1, and Erik H. J. Danen1†

1 Division of Toxicology, Leiden Academic Center for Drug Research, Leiden University, Leiden 2333CC, the Netherlands.
2 Department of Molecular Cell Biology, Institute of Biology, Leiden University, Leiden 2333CC, the Netherlands.
3 Division of Medical Pharmacology, Leiden Academic Center for Drug Research, Leiden University, Leiden 2333CC, the Netherlands.

* These authors contributed equally to this work.

† Corresponding author. E-mail: e.danen@lacdr.leidenuniv.nl

インテグリン接着受容体を介した細胞外マトリックス(ECM)との相互作用は、がん細胞に対して、生存と増殖を支持する増殖因子と共に働く物理的および化学的合図となる。前臨床乳がんモデルにおいて、β1サブユニットを含むインテグリンを標的とするアンタゴニストは、腫瘍増殖を阻害し、放射線照射または細胞障害性化学療法に対して細胞を感作することが明らかになっており、現在これについて臨床試験が進められている。われわれはβ1インテグリンの欠失が乳がんの増殖を減弱するが、肺への腫瘍細胞の播種を顕著に亢進することを見いだした。ヒトおよびマウスのE-カドヘリン–陽性トリプルネガティブ乳がん(TNBC)細胞を三次元ECMの足場で培養したとき、β1インテグリン機能を遮断する抗体またはβ1のノックダウンにより、細胞の遊走行動が集合性のものから単一細胞の動きに切り替わった。この切り替えには、miR-200マイクロRNAと転写因子zinc finger E-box–binding homeobox 2(ZEB2)の間のバランスをシフトさせる、トランスフォーミング増殖因子–β(TGFβ)シグナル伝達ネットワークの活性化が関わり、結果としてE-カドヘリンをコードする遺伝子の転写が抑制された。TGFβ受容体の存在量を低下させる、ZEB/miR-200バランスを回復させる、あるいはE-カドヘリンの存在量を増加させることで、β1インテグリン欠損細胞における接着性が再確立され、原発腫瘍の増殖に影響することなく肺への播種が低下した。これらの所見からβ1インテグリンは、上皮の表現型を促進し播種性を抑制するシグナル伝達ネットワークを制御していることが明らかにされ、TNBCにおいてβ1インテグリンを標的にしたとき副作用が生じる可能性が示唆された。

H. H. Truong, J. Xiong, V. P. S. Ghotra, E. Nirmala, L. Haazen, S. E. Le Dévédec, H. E. Balcioglu, S. He, B. E. Snaar-Jagalska, E. Vreugdenhil, J. H. N. Meerman, B. van de Water, E. H. J. Danen, β1 Integrin Inhibition Elicits a Prometastatic Switch Through the TGFβ–miR-200–ZEB Network in E-Cadherin–Positive Triple-Negative Breast Cancer. Sci. Signal. 7, ra15 (2014).

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