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酵母の浸透圧センサーであるHkr1とMsb2は異なる機構でHog1 MAPKカスケードを活性化する
Yeast Osmosensors Hkr1 and Msb2 Activate the Hog1 MAPK Cascade by Different Mechanisms
Sci. Signal., 25 February 2014
Vol. 7, Issue 314, p. ra21
[DOI: 10.1126/scisignal.2004780]
Keiichiro Tanaka1*, Kazuo Tatebayashi1,2†, Akiko Nishimura1,2, Katsuyoshi Yamamoto1, Hui-Yu Yang1, and Haruo Saito1,2†
1 Institute of Medical Science, The University of Tokyo, 4-6-1 Shirokanedai, Minato-ku, Tokyo 108-8639, Japan.
2 Department of Biophysics and Biochemistry, Graduate School of Science, The University of Tokyo, Tokyo 113-0033, Japan.
* Present address: Yale Cardiovascular Research Center, Section of Cardiovascular Medicine, Department of Internal Medicine, School of Medicine, Yale University, New Haven, CT 06511, USA.
†?Corresponding author. E-mail: tategone@ims.u-tokyo.ac.jp (K.T.); h-saito@ims.u-tokyo.ac.jp (H.S.)
要約
モル浸透圧濃度の高い環境に対処するために、出芽酵母(Saccharomyces cerevisiae)はマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)のHog1を活性化し、一連の浸透圧適応反応を調節する。膜貫通型センサーヒスチジンキナーゼSln1または4回膜貫通型膜タンパク質Sho1が関与する、機能的には冗長だが互いに独立した2つの浸透圧感受系が、Hog1 MAPKカスケードを刺激する。さらに、Sho1シグナル伝達の分岐そのものが、機能的に冗長な2つの浸透圧センサーであるHkr1とMsb2に関与する。ただし、いずれか1つの浸透圧センサー(Sln1、Hkr1、またはMsb2)があれば、浸透圧適応には十分である。われわれは、Hkr1またはMsb2がHog1カスケードを刺激するシグナル伝達機構が、各浸透圧センサーに特異的であることを示した。具体的には、Msb2によるHog1の活性化には、足場タンパク質Bem1とアクチン細胞骨格が必要であった。Bem1がMsb2の細胞質ドメインに結合すると、キナーゼであるSte20とCla4が膜へと動員され、この2つのキナーゼのどちらか一方が動員されれば、Ste11キナーゼを活性化することができた。Hkr1の細胞質ドメインもSte20によるSte11の活性化に寄与したが、その活性化は、Bem1もアクチン細胞骨格も関与しない機構によるものだった。さらに、われわれは、Sho1のSH3(Srcホモログ3)ドメインに特異的に結合するPXXPモチーフがSte20にあるのを見つけた。このSte20とSho1との相互作用は、Hkr1によるHog1の活性化には寄与したが、Msb2による活性化には寄与しなかった。このようなHkr1とMsb2の違いが、これら2つのタンパク質の差異的な制御を可能にし、浸透圧ストレスに応じて細胞骨格の制御と連携するためにMsb2を介する機構は提供されているのかもしれない。
K. Tanaka, K. Tatebayashi, A. Nishimura, K. Yamamoto, H.-Y. Yang, H. Saito, Yeast Osmosensors Hkr1 and Msb2 Activate the Hog1 MAPK Cascade by Different Mechanisms. Sci. Signal. 7, ra21 (2014).