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ストア作動性カルシウム流入は休止しているニューロンにおいて転写因子Sp4の分解を促進する

Store-Operated Calcium Entry Promotes the Degradation of the Transcription Factor Sp4 in Resting Neurons

Research Article

Sci. Signal., 3 June 2014
Vol. 7, Issue 328, p. ra51
[DOI: 10.1126/scisignal.2005242]

Jasmin Lalonde1*†, Gregory Saia1,2, and Grace Gill1†

1 Department of Developmental, Molecular & Chemical Biology, Tufts University School of Medicine, 136 Harrison Avenue, Boston, MA 02111, USA.
2 Cell, Molecular & Developmental Biology Program, Sackler School of Graduate Biomedical Sciences, Tufts University School of Medicine, Boston, MA 02111, USA.

* Present address: Center for Human Genetic Research, Massachusetts General Hospital, Richard B. Simches Research Center, 185 Cambridge Street, Boston, MA 02114, USA.

† Corresponding author. E-mail: lalonde@chgr.mgh.harvard.edu (J.L.); grace.gill@tufts.edu (G.G.)

要約

膜の脱分極に応答して活性化されたカルシウム(Ca2+)シグナル伝達は、ニューロンの成熟、接続性、および可塑性を制御する。ストア作動性Ca2+流入(SOCE)は、小胞体(ER)からのCa2+欠乏に応答して生じ、このCa2+ストアの補充を媒介し、非興奮性細胞におけるCa2+シグナル伝達を支える。われわれは、休止条件下で培養した小脳顆粒ニューロンにおいてSOCEの最大の活性化が生じたこと、このCa2+流入により、ニューロンの形態形成および機能の制御因子である転写因子Sp4の分解が促進されたことを報告する。ニューロンの興奮性を低下させる条件である、細胞外カリウム濃度の低下により、細胞内Ca2+ストアの欠乏が刺激され、その結果、ERのCa2+センサーSTIM1が、ERと細胞膜の接点における多量体化および蓄積と一致して、点状のクラスターに移行し、SOCEの特徴を持つCa2+流入が誘導された。SOCEを遮断する化合物は、細胞外カリウムの低濃度に曝露されたニューロンにおいてSp4のユビキチン化と分解を抑制した。STIM1のノックダウンがSp4の分解を遮断したのに対し、恒常的に活性化されたSTIM1の発現は、脱分極条件下のSp4存在量を低下させた。われわれの結果から、ニューロンでは、SOCEは過分極により誘導されることが示され、このCa2+流入経路はニューロンの遺伝子発現を制御する明瞭な機構であることが示唆された。

J. Lalonde, G. Saia, G. Gill, Store-Operated Calcium Entry Promotes the Degradation of the Transcription Factor Sp4 in Resting Neurons. Sci. Signal. 7, ra51 (2014).

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