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ARAFキナーゼの二量体化はMAPK経路の活性化と細胞遊走を促進する

Dimerization of the kinase ARAF promotes MAPK pathway activation and cell migration

Research Article

Sci. Signal., 5 August 2014
Vol. 7, Issue 337, p. ra73
DOI: 10.1126/scisignal.2005484

Juliane Mooz1,2, Tripat Kaur Oberoi-Khanuja1, Gregory S. Harms3, Weiru Wang4, Bijay S. Jaiswal5, Somasekar Seshagiri5, Ritva Tikkanen6, and Krishnaraj Rajalingam1,2,*

1 Cell death signalling group, Institute of Biochemistry II, Goethe University Medical School, Frankfurt 60590, Germany.
2 Institute for Immunology, University Medical Center of the Johannes Gutenberg-University Mainz, Langenbeckstraße 1, Building 708, Mainz 55131, Germany.
3 Stark Learning Center, Department of Biology and Health Sciences, Wilkes University, Wilkes-Barre, Pennsylvania, PA 18766, USA.
4 Department of Protein Engineering, Genentech Inc., 1 DNA Way, South San Francisco, CA 94080, USA.
5 Department of Molecular Biology, Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
6 Institute of Biochemistry, Medical Faculty, University of Giessen, Giessen 35392, Germany.

* Corresponding author. E-mail: krishna@biochem2.de

RAFファミリーのキナーゼはRASシグナル伝達を媒介し、RAF阻害薬はBRAFV600E変異タンパク質を有する腫瘍の治療に有効である可能性がある。しかし、RAF阻害薬は、逆説的に、RAS変異型腫瘍における転移を加速し、下流のマイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)シグナル伝達が再活性化されるため、BRAFV600E変異腫瘍では効果がなくなる。われわれは、RAFアイソフォームARAFが、細胞型に依存する様式で、MAPK活性および細胞遊走の促進に必須の役割を有することを見出した。ARAFをノックダウンすると、MAPKキナーゼ1(MEK1)ならびに細胞外シグナル制御キナーゼ1および2(ERK1/2)の活性化が防止され、BRAFV600E特異的またはBRAF/CRAF阻害薬(それぞれGDC-0879およびソラフェニブ)によって誘導された三次元培養の腫瘍細胞スフェロイドからの突起数が減少した。RAF阻害薬は、ARAFのホモ二量体化とCRAFおよび足場タンパク質KSR1とのBRAFのヘテロ二量体化を誘導した。精製タンパク質溶液では、3つのRAFアイソフォームの組み換えタンパク質は、MEK1への結合に対して競合した。培養内の細胞では、ホモ二量体化できないARAF変異体の過剰発現により、ARAFと内因性MEK1の相互作用が損なわれたため、その後のMEK1およびERK1/2の活性化が抑制された。われわれの結果から、MAPKスケードを直接活性化し、腫瘍細胞の浸潤を促進するARAFの新しい役割が明らかになり、RASおよびRAFが媒介するがんに対する新たな治療目標が示唆される。

J. Mooz, T. K. Oberoi-Khanuja, G. S. Harms, W. Wang, B. S. Jaiswal, S. Seshagiri, R. Tikkanen, and K. Rajalingam, Dimerization of the kinase ARAF promotes MAPK pathway activation and cell migration. Sci. Signal. 7, ra73 (2014).

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