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ジアシルグリセロールキナーゼαは免疫シナプスでジアシルグリセロール蓄積を形成することでT細胞の極性を確立する

Diacylglycerol kinase α establishes T cell polarity by shaping diacylglycerol accumulation at the immunological synapse

Research Article

Sci. Signal., 26 August 2014
Vol. 7, Issue 340, p. ra82
DOI: 10.1126/scisignal.2005287

Anne Chauveau1, Audrey Le Floc'h1, Niels S. Bantilan1, Gary A. Koretzky2, and Morgan Huse1,*

1 Immunology Program, Memorial Sloan Kettering Cancer Center, New York, NY 10065, USA.
2 Department of Medicine, Weill Cornell Medical College, New York, NY 10065, USA.

* Corresponding author. E-mail: husem@mskcc.org

要約 T細胞と抗原提示細胞(APC)の間の免疫シナプスに対する、T細胞の微小管形成中心(MTOC)の極性化は、APCへの方向性の分泌を可能にすることで、T細胞のエフェクター応答の特異性を維持している。MTOCの再配向は、免疫シナプスの中心にあるセカンドメッセンジャーであるジアシルグリセロール(GAD)の、急な勾配により誘導される。われわれは単一細胞光活性化アプローチを用い、DAGからホスファチジン酸への変換を触媒するジアシルグリセロールキナーゼα(DGK-α)がDAGの拡散を制限することで、T細胞の極性を決定することを実証した。DGK-α欠損T細胞では免疫シナプスにおけるDAGの蓄積が拡大し、またMTOCの再配向が障害されていた。一方、その関連アイソフォームであるDGK-ζを欠損するT細胞は、極性化の異常を示さなかった。われわれはまた、DGK-αが免疫シナプスの周辺部に選択的に局在化していることも見いだし、このことは、DAGが蓄積している領域にDGK-αが限局していることを示唆している。DGK-αの周辺部への局在化パターンのためには、ホスホイノシチド3-キナーゼの活性が必要であった。このことは、T細胞活性化の間の、ホスファチジルイノシトールのシグナル伝達とDAGとの関連性を示唆している。以上の結果は、これまで認識されていなかったDGK-αの機能を明らかにし、リンパ球の極性を決定する機序に洞察を与えるものである。

A. Chauveau, A. Le Floc'h, N. S. Bantilan, G. A. Koretzky, and M. Huse, Diacylglycerol kinase α establishes T cell polarity by shaping diacylglycerol accumulation at the immunological synapse. Sci. Signal. 7, ra82 (2014).

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