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セマフォリン3AはグアノシントリホスファターゼRab5を活性化させて成長円錐の崩壊を促進し脳梁の軸索突起を形成する

Semaphorin 3A activates the guanosine triphosphatase Rab5 to promote growth cone collapse and organize callosal axon projections

Research Article

Sci. Signal., 26 August 2014
Vol. 7, Issue 340, p. ra81
DOI: 10.1126/scisignal.2005334

Kong-Yan Wu1, Miao He1, Qiong-Qiong Hou1, Ai-Li Sheng1, Lei Yuan1, Fei Liu1, Wen-Wen Liu2, Guangpu Li3, Xing-Yu Jiang2, and Zhen-Ge Luo1,*

1 Institute of Neuroscience, State Key Laboratory of Neuroscience, Shanghai Institutes for Biological Sciences, Chinese Academy of Sciences, 320 Yue Yang Road, Shanghai 200031, China.
2 Chinese Academy of Sciences Key Laboratory for Biological Effects of Nanomaterials and Nanosafety, National Center for Nanoscience and Technology, 11 Beiyitiao, Zhong Guan Cun, Beijing 100190, China.
3 Department of Biochemistry and Molecular Biology, University of Oklahoma Health Sciences Center, Oklahoma City, OK 73104, USA.

* Corresponding author. E-mail: zgluo@ion.ac.cn

要約 軸索誘導(経路探索)は、発生中の脳を配線し、さまざまな誘因性の合図と反発的な合図によって制御される。セマフォリン3A(Sema3A)は反発的な合図であり、軸索の成長円錐の崩壊を誘導する。哺乳類の前脳では、脳梁が2つの半球間の情報の流れを伝達する主な交連となっており、対側の軸索が集結してよく定義された経路が形成される。われわれは、Sema3Aに応答したげっ歯類のII層およびIII層(L2/3)の皮質ニューロンにおける脳梁の軸索突起のパターン形成が、エンドサイトーシスを媒介する小分子のグアノシントリホスファターゼ(GTPase)Rab5の活性化によって、膜融合タンパク質Rabaptin-5とRab5グアニンヌクレオチド交換因子(GEF)Rabex-5を通じて媒介されることを見出した。Rabaptin-5はSema3A複合受容体[Plexin-A1とニューロピリン1(NP1)によって形成される偏性ヘテロ二量体]のPlexin-A1と直接結合した。Sema3Aは培養神経細胞でこの相互作用を促進させた。Rabaptin-5はRab5とPlexin-A1との相互作用を橋渡しした。Sema3Aは、脳梁の軸索成長円錐の細胞表面からのエンドサイトーシスを刺激した。ラットにおいて子宮内電気穿孔法でRab5またはRabaptin-5を減少させると、軸索の線維束形成が損なわれたり、L2/3脳梁突起の誤ったターゲティングが引き起こされたりした。ドミナントネガティブ型Plexin-A1を発現するラットまたはNP1欠損マウスにおいて、Rabaptin-5またはRab5を過剰発現させると、脳梁軸索の不完全な線維束形成やSema3A-Plexin-A1シグナル伝達の欠如によって引き起こされる脳梁軸索の誤ったターゲティングは回復された。このように、われわれが得た知見は、Rab5と、Rab5のエフェクターであるRabaptin-5と、Rab5の制御因子であるRabex-5が脳発生中にSema3Aに誘導される軸索誘導を媒介することを示唆している。

K. Wu, M. He, Q. Hou, A. Sheng, L. Yuan, F. Liu, W. Liu, G. Li, X. Jiang, and Z. Luo, Semaphorin 3A activates the guanosine triphosphatase Rab5 to promote growth cone collapse and organize callosal axon projections. Sci. Signal. 7, ra81 (2014).

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