• ホーム
  • 活性酸素種により刺激される局在化したTRPA1チャネルCa2+シグナルは脳動脈拡張を促進する

活性酸素種により刺激される局在化したTRPA1チャネルCa2+シグナルは脳動脈拡張を促進する

Localized TRPA1 channel Ca2+ signals stimulated by reactive oxygen species promote cerebral artery dilation

Research Article

Sci. Signal., 6 January 2015
Vol. 8, Issue 358, p. ra2
DOI: 10.1126/scisignal.2005659

Michelle N. Sullivan1, Albert L. Gonzales2, Paulo W. Pires3, Allison Bruhl1, M. Dennis Leo4, Wencheng Li1, Agathe Oulidi3, Frederick A. Boop5, Yumei Feng1, Jonathan H. Jaggar4, Donald G. Welsh6, and Scott Earley3,*

1 Vascular Physiology Research Group, Department of Biomedical Sciences, Colorado State University, Fort Collins, CO 80523, USA.
2 Department of Pharmacology, University of Vermont School of Medicine, Burlington, VT 05405, USA.
3 Department of Pharmacology, University of Nevada School of Medicine, Reno, NV 89557-0318, USA.
4 Department of Physiology, University of Tennessee Health Science Center, Memphis, TN 38163, USA.
5 Department of Neurosurgery, University of Tennessee Health Science Center, Memphis, TN 38163, USA.
6 Department of Physiology and Pharmacology, University of Calgary, Calgary, Alberta T2N 4N1, Canada.

*Corresponding author. E-mail: searley@medicine.nevada.edu

要約 活性酸素種(ROS)は、脳および末梢循環において様々な効果をもちうる。われわれは、Ca2+透過性一過性受容体電位アンキリン1(TRPA1)チャネルが、脳動脈内皮に存在し、主なROS供給源であるNADPH(ニコチンアミドアデニンジヌクレオチドリン酸の還元型)オキシダーゼ2(NOX2)と共局在するが、他の血管床ではみられないことを発見した。われわれは、「TRPA1スパークレット」と名付けた、単一のTRPA1チャネルを介したCa2+流入を示すROS誘導性のCa2+シグナルを記録し、特性を調べた。TRPA1スパークレット活動は、基底条件下では低かったが、NOXにより生成されるROSによって刺激された。単一TRPA1スパークレット時のCa2+流入は、TRPV4スパークレットの2倍で、L型Ca2+チャネルスパークレットの~200倍であった。2つのTRPA1チャネルの同時開放を示すTRPA1スパークレットは、TRPA1を発現するヒト胚性腎臓(HEK)293細胞よりも内皮細胞でより多くみられた。NOX誘発性のTRPA1スパークレットは、中間コンダクタンス、Ca2+感受性K+チャネルを活性化し、平滑筋の過分極および血管拡張を導いた。NOX誘導性のTRPA1スパークレットの活性化および血管拡張は、中間体として過酸化水素および脂質過酸化ヒドロキシルラジカルの生成を必要とした。脂質過酸化の代謝産物である4-ヒドロキシノネナールもTRPA1スパークレットの周波数を増加させ、脳動脈を拡張させた。これらのデータは、脳循環において、ROSによって生成される脂質過酸化代謝産物が脳動脈の内皮におけるTRPA1チャネルを介したCa2+流入を活性化し、血管拡張を引き起こすことを示唆している。

M. N. Sullivan, A. L. Gonzales, P. W. Pires, A. Bruhl, M. D. Leo, W. Li, A. Oulidi, F. A. Boop, Y. Feng, J. H. Jaggar, D. G. Welsh, and S. Earley, Localized TRPA1 channel Ca2+ signals stimulated by reactive oxygen species promote cerebral artery dilation. Sci. Signal. 8, ra2 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年1月6日号

Editors' Choice

妊娠糖尿病
インスリンがセロトニンの取り込みを促進する

Editorial Guides

2014:シグナル伝達の「ブレイクスルー・オブ・ザ・イヤー」

Research Article

セリン/スレオニンキナーゼBUB1のキナーゼ活性はTGF-βシグナル伝達を促進する

活性酸素種により刺激される局在化したTRPA1チャネルCa2+シグナルは脳動脈拡張を促進する

最新のResearch Article記事

2025年07月08日号

MDM2-p53軸がnorrin/frizzled4シグナル伝達と血液-CNSバリア機能を調節する

2025年07月01日号

パーキンソン病に関連するLRRK2変異マウスに対するキナーゼ阻害剤投与による線条体神経保護経路の回復

2025年07月01日号

PKCηのミスセンス変異はゴルジ体に限局したシグナル伝達を増強し、潜性遺伝性の家族性アルツハイマー病に関連する

2025年06月24日号

STIM1ではなくSTIM2の欠損が代謝リプログラミングとATF4 ERストレス経路を介して大腸がんの転移を促進する

2025年06月17日号

アンフィレギュリンは感覚ニューロンにおいてヒストンのラクチル化を刺激する解糖系を亢進させることによって神経障害性疼痛に関与する