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DDR2(ジスコイジンドメイン受容体2)は破骨細胞産生を抑制する骨粗鬆症の治療標的候補である

DDR2 (discoidin domain receptor 2) suppresses osteoclastogenesis and is a potential therapeutic target in osteoporosis

Research Article

Sci. Signal., 24 March 2015
Vol. 8, Issue 369, p. ra31
DOI: 10.1126/scisignal.2005835

Yan Zhang1, Jin Su2, Shufang Wu1, Yue Teng1, Zhanhai Yin3, Yan Guo4, Jing Li1, Kun Li5, Libo Yao2, and Xu Li1,*

1 Center for Translational Medicine, the First Affiliated Hospital of Xi'an Jiaotong University College of Medicine, Xi'an, Shaanxi 710061, People's Republic of China.
2 Department of Biochemistry and Molecular Biology, the Fourth Military Medical University, Xi'an, Shaanxi 710032, People's Republic of China.
3 Department of Orthopaedics, the First Affiliated Hospital of Xi'an Jiaotong University College of Medicine, Xi'an, Shaanxi 710061, People's Republic of China.
4 Key Laboratory of Biomedical Information Engineering of Ministry of Education, and Institute of Molecular Genetics, School of Life Science and Technology, Xi'an Jiaotong University, Xi'an, Shaanxi 710049, People's Republic of China.
5 Clinical laboratory, ShanXi Mineral Hospital, Xi'an, Shaanxi 710014, People's Republic of China.

*Corresponding author. E-mail: lixuxjtu@163.com

要約 骨粗鬆症は、骨の恒常性の不均衡による異常な骨脆弱性を特徴とする疾患である。骨形成を促進する治療標的の探査は、骨粗鬆症の治療に有用である。ジスコイジンドメイン受容体2(DDR2)は、骨を形成する細胞である骨芽細胞の分化、すなわち骨形成を促進する、受容体チロシンキナーゼである。われわれは破骨細胞産生(骨吸収を担う細胞の産生)におけるDDR2の役割を調べた。その結果、分化した破骨細胞は触媒的に活性化したDDR2をもつものの、その存在量は低下していることを見いだした。培養骨基質モデルにおいて、DDR2の過剰発現は破骨細胞マーカーの発現、破骨細胞の成熟、および破骨細胞を介した骨吸収を抑制した。反対に、RNA干渉を介したDdr2のノックダウンは、マウスにおいて破骨細胞の分化および骨吸収を加速した。さらにわれわれは、DDR2相互作用タンパク質として共受容体ニューロピリン-1(Nrp1)を同定した。DDR2はDDR2-Nrp1-プレキシンA1複合体を形成することで、Nrp1とその共受容体であるプレキシンA1の結合を促進し、これがプレキシンA1を介した破骨細胞産生の刺激を遮断していた。DDR2は、プレキシンA1が受容体TREM2およびアダプターDAP12と相互作用することを阻害していた。さらに、Nrp1をノックダウンするとDDR2過剰発現細胞で認められる破骨細胞マーカーの発現が低下し、一方、DDR2をサイレンシングした細胞でNrp1を異所性発現させると破骨細胞産生の誘発が阻害されていた。Nrp1はマウスにおいて、骨芽細胞の分化および骨形成の促進におけるDDR2の機能を亢進していた。卵巣摘出による骨粗鬆症のマウスモデルでは、アデノウイルスを介した大腿骨へのDDR2の送達は、骨減少性の表現型を軽減した。われわれの結果は、DDR2が破骨細胞産生の阻害因子としても骨芽細胞形成の促進因子としても機能することを明らかにし、したがってDDR2の増強は骨粗鬆症患者に対して治療効果をもつ可能性を示唆している。

Y. Zhang, J. Su, S. Wu, Y. Teng, Z. Yin, Y. Guo, J. Li, K. Li, L. Yao, and X. Li, DDR2 (discoidin domain receptor 2) suppresses osteoclastogenesis and is a potential therapeutic target in osteoporosis. Sci. Signal. 8, ra31 (2015).

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