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グリオブラストーマにおけるmiR-218発現抑制とRTK活性化のフィードバック回路

Feedback circuitry between miR-218 repression and RTK activation in glioblastoma

Research Article

Sci. Signal., 5 May 2015
Vol. 8, Issue 375, p. ra42
DOI: 10.1126/scisignal.2005978

Lijoy K. Mathew1,2, Peiwei Huangyang1, Vera Mucaj1, Samuel S. Lee1,2, Nicolas Skuli3, T.S. Karin Eisinger-Mathason1, Kevin Biju1, Bo Li1, Sriram Venneti4, Priti Lal4, Justin D. Lathia5, Jeremy N. Rich6, Brian Keith1,7, and M. Celeste Simon1,2,8,*

1 Abramson Family Cancer Research Institute, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
2 Howard Hughes Medical Institute, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
3 INSERM U1037, Institut Claudius Regaud, 20-24 Rue du Pont Saint-Pierre, 31059 Toulouse, France.
4 Department of Pathology and Laboratory Medicine, Institut Claudius Regaud, 31059 Toulouse, France.
5 Department of Cellular and Molecular Medicine, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
6 Department of Stem Cell and Regenerative Medicine, Lerner Research Institute, Cleveland Clinic, Cleveland, OH 44195, USA.
7 Department of Cancer Biology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.
8 Department of Cell and Developmental Biology, University of Pennsylvania, Philadelphia, PA 19104, USA.

*Corresponding author. E-mail: celeste2@mail.med.upenn.edu

要約 受容体チロシンキナーゼ(RTK)シグナル伝達は、侵攻性が高いタイプの脳腫瘍であるグリオブラストーマ(GBM)の増殖および進行を促進する。われわれは、以前、GBM内のmiR-218発現の減少は、主要なRTKならびにそれらのシグナル伝達メディエーターのRTK上皮成長因子(EGFR)、ホスホリパーゼC-γ1(PLCγ1)およびPIK3CAおよびARAFキナーゼなどの発現を亢進させることにより、RTK活性を直接的に促進することを報告した。しかし、RTKシグナル伝達が亢進すると、通常、ホメオスタシスを維持するために、負のフィードバック機構が活性化する。われわれは、GBM細胞内のmiR-218発現が減少すると、RTK血小板由来成長因子受容体α(PDGFRα)、およびリボソームS6キナーゼ2(RSK2)やS6キナーゼ1(S6K1)などのRTKシグナル伝達経路のその他の上流および下流成分をコードする遺伝子の発現も昂進され、それらが共同で負のフィードバック機構を無効にすることを明らかにした。さらに、RTKシグナル伝達自体の亢進でmiR-218発現が抑制された。質量分析法およびDNAプルダウンによって、シグナル伝達兼転写活性化因子3(STAT3)は転写抑制因子BCL2結合転写因子1(BCLAF1)とともに、miR-218遺伝子座と直接結合することが示された。これらのデータから、これまで知られていなかった、miR-218発現抑制により高悪性度グリオーマにおけるRTKシグナル伝達亢進が促進されるフィードバックループが特定された。

L. K. Mathew, P. Huangyang, V. Mucaj, S. S. Lee, N. Skuli, T. K. Eisinger-Mathason, K. Biju, B. Li, S. Venneti, P. Lal, J. D. Lathia, J. N. Rich, B. Keith, and M. C. Simon, Feedback circuitry between miR-218 repression and RTK activation in glioblastoma. Sci. Signal. 8, ra42 (2015).

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