• ホーム
  • キナーゼABLはDNA損傷に応答してマイクロプロセッサのサブユニットDGCR8をリン酸化することによって一次マイクロRNAのプロセシングを刺激する

キナーゼABLはDNA損傷に応答してマイクロプロセッサのサブユニットDGCR8をリン酸化することによって一次マイクロRNAのプロセシングを刺激する

The kinase ABL phosphorylates the microprocessor subunit DGCR8 to stimulate primary microRNA processing in response to DNA damage

Research Article

Sci. Signal. 30 Jun 2015:
Vol. 8, Issue 383, pp. ra64
DOI: 10.1126/scisignal.aaa4468

Chi-Chiang Tu1,2, Yan Zhong1, Louis Nguyen1, Aaron Tsai1, Priya Sridevi1, Woan-Yuh Tarn2, and Jean Y. J. Wang1,*

1 Moores Cancer Center and Division of Hematology-Oncology, Department of Medicine, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093-0644, USA.
2 Institute of Biomedical Sciences, Academia Sinica, Taipei 11529 Taiwan.

* Corresponding author. E-mail: jywang@ucsd.edu

要約 DNA損傷応答ネットワークは、マイクロRNA(miRNA)の生合成を刺激し、修復、細胞周期チェックポイント、アポトーシスを調和させる。miRNA生合成の多段階プロセスには、リボヌクレアーゼDroshaとRNA結合タンパク質DGCR8で構成されるマイクロプロセッサ複合体による一次miRNAの切断が含まれる。われわれは、チロシンキナーゼABLがDGCR8をリン酸化すること、このリン酸化修飾がDNA損傷後のmiRNAサブセットの誘導に必要であることを見出した。miR-34ファミリーに注目すると、ABLはDrosha/DGCR8に依存した一次miR-34cpri-miR-34c)のプロセシングを介してmiR-34cの産生を刺激したが、miR-34aの産生を刺激しなかった。このようなmiRNA選択的なABLの作用には、前駆体miR-34cpre-miR-34c)のステムループに隣接する配列が必要であった。pri-miRNAのプロセシングでは、DGCR8がpre-miRのステムループに結合し、DroshaをmiRNAへと動員する。RNAクロスリンクアッセイはDGCR8とDroshaがpri-miR-34cと相互作用することを示したが、われわれは、ABLに刺激されるプロセシングと、DGCR8のpri-miR-34cとの会合の間に逆相関を見出した。HEK293T細胞で共発現させると、ABLはDGCR8のTyr267をリン酸化した。Y267F-DGCR8変異体を異所発現させると、Droshaのpri-miR-34cへの動員は減少し、ABLまたはDroshaがpri-miR-34cのプロセシングを刺激するのも阻止された。核内移行の欠損した変異型ABLを発現するように遺伝子操作されたマウスでは、腎臓でのmiR-34cの発現は減少したが、miR-34aの発現は減少せず、シスプラチンに応答した腎上皮細胞のアポトーシスが減少していた。これらの結果は、DNA損傷応答の新たな経路として、ABLに依存したDGCR8のチロシンリン酸化が一次miRNAの選択的プロセシングを刺激する経路を明らかにしている。

Citation: C.-C. Tu, Y. Zhong, L. Nguyen, A. Tsai, P. Sridevi, W.-Y. Tarn, J. Y. J. Wang, The kinase ABL phosphorylates the microprocessor subunit DGCR8 to stimulate primary microRNA processing in response to DNA damage. Sci. Signal. 8, ra64 (2015).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2015年6月30日号

Editors' Choice

がん
がんの痛みを治療する

Research Article

キナーゼABLはDNA損傷に応答してマイクロプロセッサのサブユニットDGCR8をリン酸化することによって一次マイクロRNAのプロセシングを刺激する

未成熟ニューロンではWNK1により調節されるKCC2共輸送体の阻害性リン酸化がGABAの脱分極作用を維持する

単純な合成タンパク質足場は、酵母および哺乳類細胞において調整可能な人工MARK回路を作り出すことができる

最新のResearch Article記事

2025年07月08日号

MDM2-p53軸がnorrin/frizzled4シグナル伝達と血液-CNSバリア機能を調節する

2025年07月01日号

パーキンソン病に関連するLRRK2変異マウスに対するキナーゼ阻害剤投与による線条体神経保護経路の回復

2025年07月01日号

PKCηのミスセンス変異はゴルジ体に限局したシグナル伝達を増強し、潜性遺伝性の家族性アルツハイマー病に関連する

2025年06月24日号

STIM1ではなくSTIM2の欠損が代謝リプログラミングとATF4 ERストレス経路を介して大腸がんの転移を促進する

2025年06月17日号

アンフィレギュリンは感覚ニューロンにおいてヒストンのラクチル化を刺激する解糖系を亢進させることによって神経障害性疼痛に関与する