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細胞外シグナル調節キナーゼ5が細胞性および全身性の急性炎症を促進する

Extracellular signal–regulated kinase 5 promotes acute cellular and systemic inflammation

Research Article

Sci. Signal. 25 Aug 2015:
Vol. 8, Issue 391, pp. ra86
DOI: 10.1126/scisignal.aaa3206

Kevin Wilhelmsen,1 * Fengyun Xu,1 Katherine Farrar,2 Alphonso Tran,1 Samira Khakpour,2 Shirin Sundar,1 Arun Prakash,1 Jinhua Wang,3 Nathanael S. Gray,3 Judith Hellman1,4

1 Department of Anesthesia and Perioperative Care, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
2 Graduate Program in Biomedical Sciences, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.
3 Department of Biological Chemistry and Molecular Pharmacology, Harvard Medical School, Dana-Farber Cancer Institute, Boston, MA 02215, USA.
4 Division of Critical Care Medicine and Biomedical Sciences Program, University of California, San Francisco, San Francisco, CA 94143, USA.

* Corresponding author. E-mail: wilhelmsenk@anesthesia.ucsf.edu

要約 炎症性重症疾患とは急性炎症と臓器損傷を特徴とする症候群であり、いずれも自然免疫の受容体および経路を活性化させる、感染および非感染性の組織損傷により引き起こされる。マイトジェン活性化プロテインキナーゼ(MAPK)細胞外シグナル調節キナーゼ5(ERK5)の抗炎症的役割を示唆した報告があるものの、われわれは以前、Toll様受容体2(TLR2)の刺激に応答した初代ヒト細胞において、ERK5が炎症促進性応答を媒介していることを見いだしている。われわれは初代ヒト血管内皮細胞および単球においてこのキナーゼの活性を阻害し、ERK5およびMEK5(ERK5のすぐ上流のMAPKキナーゼ)の存在量を減少させた結果、多様な微生物性TLRアゴニストおよび炎症促進性サイトカインであるインターロイキン-1β(IL-1β)と腫瘍壊死因子-α(TNF-α)により誘発される炎症を、ERK5が促進することを見いだした。さらにわれわれは、TLRリガンドおよび加熱死菌黄色ブドウ球菌(Staphylococcus aureus)に曝露したマウス、並びに無菌性肺虚血再灌流傷害を受けたマウスにおいて、MEK5またはERK5の阻害因子が炎症促進性サイトカインの血漿中濃度を低下させることを見いだした。最後に、ERK5の阻害はエンドトキシン血症マウスを死亡から保護していた。まとめると、われわれの研究は、初代ヒト内皮細胞および単球においてERK5が果たしている炎症促進的役割を支持し、ERK5が、炎症性重症疾患を引き起こす多様な障害の治療標的候補であることを示唆している。

Citation: K. Wilhelmsen, F. Xu, K. Farrar, A. Tran, S. Khakpour, S. Sundar, A. Prakash, J. Wang, N. S. Gray, J. Hellman, Extracellular signal-regulated kinase 5 promotes acute cellular and systemic inflammation. Sci. Signal. 8, ra86 (2015).

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2015年8月25日号

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