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Gタンパク質αサブユニットバリアントXLαsはイノシトール1,4,5-三リン酸シグナル伝達を促進しin vivoで副甲状腺ホルモンの腎作用を仲介する
The G protein α subunit variant XLαs promotes inositol 1,4,5-trisphosphate signaling and mediates the renal actions of parathyroid hormone in vivo
Sci. Signal. 25 Aug 2015:
Vol. 8, Issue 391, pp. ra84
DOI: 10.1126/scisignal.aaa9953
Qing He,1 Yan Zhu,1 Braden A. Corbin,1 Antonius Plagge,2 Murat Bastepe1 *
1 Endocrine Unit, Department of Medicine, Massachusetts General Hospital and Harvard Medical School, Boston, MA 02114, USA.
2 Department of Cellular and Molecular Physiology, Institute of Translational Medicine University of Liverpool, Liverpool L69 3BX, UK.
* Corresponding author. E-mail: bastepe@helix.mgh.harvard.edu
要約 刺激性Gタンパク質(ヘテロ三量体グアニンヌクレオチド結合タンパク質)αサブユニット(Gαs)をコードするGNASは、エクストララージαサブユニット(XLαs)と呼ばれるGαsのラージバリアントもコードし、XLαsの存在量または活性の変化は、さまざまなヒト疾患に関与している。XLαsは、Gαsと同様に、セカンドメッセンジャーであるサイクリックアデノシン一リン酸(cAMP)の産生を刺激するが、XLαsとGαsは、in vivoでは拮抗する作用をもつことを示唆する報告がある。われわれは、副甲状腺ホルモン(PTH)によるシグナル伝達を仲介するXLαsの役割を検討した。PTHは、腎近位尿細管においてGαsとGαq/11の両方を刺激するGタンパク質共役受容体(GPCR)を活性化させ、リン酸とビタミンDの恒常性を維持する。XLαsノックアウト(XLKO)マウスでは、生後2日目(P2)に、高リン血症、低カルシウム血症、PTHおよび1,25-ジヒドロキシビタミンDの血清濃度上昇が認められた。血清リン酸濃度を低下させるPTHの能力が阻害され、XLKOマウスでは、腎刷子縁膜におけるナトリウムリン酸共輸送体Npt2aの存在量が減少した一方、PTH誘導性のcAMP尿中排泄がわずかに増加した。XLKOマウスの腎近位尿細管においては、Gαq/11シグナル伝達によって産生されるセカンドメッセンジャーであるイノシトール1,4,5-三リン酸(IP3)の、基礎産生とPTH刺激による産生が抑制された。XLKOマウスを、腎近位尿細管に特異的にXLαsを過剰発現するマウスと交配させると、XLKOマウスの表現型がレスキューされた。HEK 293細胞にXLαsを過剰発現させると、未刺激細胞と、PTHによって刺激した細胞、Gq/11共役受容体を介して作用するトロンビンによって刺激した細胞において、IP3産生が増強された。総合すると、われわれの結果から、XLαsはGq/11シグナル伝達を増強し、生後早期の発達におけるPTHの腎作用を仲介することが示唆される。
Citation: Q. He, Y. Zhu, B. A. Corbin, A. Plagge, M. Bastepe, The G protein α subunit variant XLαs promotes inositol 1,4,5-trisphosphate signaling and mediates the renal actions of parathyroid hormone in vivo. Sci. Signal. 8, ra84 (2015).