がん
AIM2の目的はがん予防

CANCER
Our AIM is 2 prevent cancer

Editor's Choice

Sci. Signal. 25 Aug 2015:
Vol. 8, Issue 391, pp. ec234
DOI: 10.1126/scisignal.aad2821

Wei Wong

Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA

J. E. Wilson, A. S. Petrucelli, L. Chen, A. A. Koblansky, A. D. Truax, Y. Oyama, A. B. Rogers, W. J. Brickey, Y. Wang, M. Schneider, M. Mühlbauer, W.-C. Chou, B. R. Barker, C. Jobin, N. L. Allbritton, D. A. Ramsden, B. K. Davis, J. P. Y. Ting, Inflammasome-independent role of AIM2 in suppressing colon tumorigenesis via DNA-PK and Akt. Nat. Med. 21, 906–913 (2015). [PubMed]

S. M. Man, Q. Zhu, L. Zhu, Z. Liu, R. Karki, A. Malik, D. Sharma, L. Li, R. K. S. Malireddi, P. Gurung, G. Neale, S. R. Olsen, R. A. Carter, D. J. McGoldrick, G. Wu, D. Finkelstein, P. Vogel, R. J. Gilbertson, T.-D. Kanneganti, Critical role for the DNA sensor AIM2 in stem cell proliferation and cancer. Cell 162, 45–58 (2015). [PubMed]

L. M. Rommereim, N. Subramanian, AIMing 2 curtail cancer. Cell 162, 18–20 (2015). [PubMed]

細胞質内で二本鎖DNAがセンサーAIM2に結合すると、微生物に対する宿主防御の重要な構成要素であるインフラマソームの活性化が引き起こされる。結腸直腸腫瘍ではAIM2に変異が見つかっている。今回、AIM2がインフラマソームの活性化で果たす役割とは独立した役割として結腸がんも予防していることを、2つの研究グループが示している。Wilsonらは、Aim2–/–マウスに結腸炎を化学的に誘発させ、これらのマウスでは野生型マウスに比べて、結腸炎の症状がより重く、前がん性ポリープの発生数がより多く、腫瘍量がより多いことを見出した。しかし、インフラマソーム活性化の下流で産生されるサイトカインのmRNA量とタンパク質量はいずれの遺伝子型でも同様であった。Aktは、増殖因子に応答して細胞の増殖と生存を促進するキナーゼであり、Aim2–/–マウスの結腸では、野生型マウスに比べて、このキナーゼがより活性化されていた。結腸炎を化学的に誘発させたAim2–/–マウスの結腸では、野生型マウスに比べて増殖が亢進されており、結腸炎を有するAim2–/–マウスをAkt阻害薬で処置すると、ポリープ数が減り、ポリープが小さくなり、腫瘍量が減少した。AIM2の過剰発現は、Aktをリン酸化し活性化させることができる内在性キナーゼDNA-PKの活性化に関連し、かつ制限した。2本目の論文では、Manら(RommereimとSubramanianも参照)も、Aim2–/–マウスのほうが野生型マウスよりも結腸炎関連の結腸直腸がんを発症しやすいことを見出したが、インフラマソーム活性化のさまざまなマーカーは2つの遺伝子型で同様であった。化学的に結腸炎を誘発させたAim2–/–マウスでは腸細胞の増殖が亢進され、これにはAkt活性化の促進が関連した。結腸上皮幹細胞は、いくつかの腸がんの起源となる細胞だと考えられており、Aim2–/–マウス由来の結腸上皮幹細胞は、野生型マウス由来のものより増殖が著しく、3次元的なオルガノイドをより多く形成した。Aim2–/–マウスの腸微生物叢は野生型マウスのものとは異なり、Aim2–/–マウスの腸微生物叢にみられる変化のうち2つは、結腸がんの発症と関連づけられている。Aim2–/–マウスと野生型マウスを同じケージで飼育すると、Aim2–/–マウスの腫瘍発生は減少し、野生型マウスの腫瘍発生は増加した。このように、AIM2はインフラマソーム活性化が関与しない機構を通じて結腸直腸腫瘍の発生を予防する。放射線感受性の骨髄由来細胞のAIM2が結腸直腸腫瘍の発生に寄与するかどうかが決定されるのは、まだこれからだ。Wilsonらは、野生型マウスから骨髄移植を受けたAim2–/–マウスの腫瘍発生に変化が認められないことを見出したが、Manらは、Aim2–/–マウスから骨髄移植を受けた野生型マウスで腫瘍発生が増加することを見出した。

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2015年8月25日号

Editor's Choice

がん
AIM2の目的はがん予防

Research Article

Gタンパク質αサブユニットバリアントXLαsはイノシトール1,4,5-三リン酸シグナル伝達を促進しin vivoで副甲状腺ホルモンの腎作用を仲介する

RelB/p52を介したNF-κBシグナル伝達は、ヒストンアセチル化を変化させ、ヒト胎盤における副腎皮質刺激ホルモン放出ホルモン存在量を増加させる

細胞外シグナル調節キナーゼ5が細胞性および全身性の急性炎症を促進する

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