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ゲノムワイドRNAiスクリーニングによりショウジョウバエ成体においてE3ユビキチンリガーゼSherpaがTollによる自然免疫シグナル伝達の仲介に関与することが明らかに

Genome-wide RNAi screening implicates the E3 ubiquitin ligase Sherpa in mediating innate immune signaling by Toll in Drosophila adults

Research Article

Sci. Signal. 27 Oct 2015:
Vol. 8, Issue 400, pp. ra107
DOI: 10.1126/scisignal.2005971

Hirotaka Kanoh1,*,†, Li-Li Tong1,†, Takayuki Kuraishi1,2,†,‡,§, Yamato Suda1, Yoshiki Momiuchi1, Fumi Shishido1, and Shoichiro Kurata1,§

1 Division of Molecular Genetics, Graduate School of Pharmaceutical Sciences, Tohoku University, Sendai 980-8578, Japan.
2 Precursory Research for Embryonic Science and Technology (PRESTO), Japan Science and Technology Agency, Tokyo 102-0076, Japan.

§ Corresponding author. E-mail: takayuki.kuraishi@gmail.com (T.K.); kurata@mail.pharm.tohoku.ac.jp (S.K.)

* Present address: Division of Glycopathology, Institute of Molecular Biomembrane and Glycobiology, Tohoku Pharmaceutical University, Sendai 981-8558, Japan.

† These authors contributed equally to this work.

‡ Present address: Department of Microbiology and Immunology, Keio University School of Medicine, Tokyo 160-8582, Japan.

要約 ショウジョウバエ(Drosophila)Toll経路は、グラム陽性菌および真菌に対する自然免疫応答に重要な役割を果たす。この経路の、これまでに特性が明らかにされていない構成成分を同定するために、われわれは、ex vivoでの比較ゲノムワイドRNA干渉スクリーニングを行った。4種類のスクリーニングにおいて、Tollアダプタータンパク質dMyd88、下流キナーゼPelle、核内因子κB(NF-κB)ホモログDifのいずれかを過剰発現させるか、哺乳類NF-κB阻害剤のショウジョウバエホモログであるCactusをノックダウンさせた。これらのスクリーニングに基づき、E3ユビキチンリガーゼSherpaが、Tollシグナル伝達の活性化に必要であることが確認された。機能喪失型sherpa変異ハエでは、抗菌ペプチドの産生低下と、グラム陽性菌による感染に対する感受性増大が認められた。培養細胞において、SherpaはdMyd88とSherpa自体のユビキチン化を仲介し、SherpaとショウジョウバエSUMO(低分子ユビキチン様修飾因子)は、dMyd88を含有するアダプター複合体の適切な膜局在化に必要であった。これらの結果から、ショウジョウバエの宿主防御におけるSherpaの役割が明らかにされており、Toll自然免疫シグナル伝達における、SUMO化を介するdMyd88機能の調節が示唆される。

Citation: H. Kanoh, L.-L. Tong, T. Kuraishi, Y. Suda, Y. Momiuchi, F. Shishido, S. Kurata, Genome-wide RNAi screening implicates the E3 ubiquitin ligase Sherpa in mediating innate immune signaling by Toll in Drosophila adults. Sci. Signal. 8, ra107 (2015).

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