• ホーム
  • Ca2+は細胞膜からβ2eサブユニットを遊離させることによって電位依存性カルシウムチャネルの開口を制御する

Ca2+は細胞膜からβ2eサブユニットを遊離させることによって電位依存性カルシウムチャネルの開口を制御する

Ca2+ controls gating of voltage-gated calcium channels by releasing the β2e subunit from the plasma membrane

Research Article

Sci. Signal. 05 Jul 2016:
Vol. 9, Issue 435, pp. ra67
DOI: 10.1126/scisignal.aad7247

Dong-Il Kim1, Hae-Jin Kweon1, Yongsoo Park2, Deok-Jin Jang3, and Byung-Chang Suh1,*

1 Department of Brain and Cognitive Sciences, Daegu Gyeongbuk Institute of Science and Technology (DGIST), Daegu 42988, Korea.
2 Department of Neurobiology, Max Planck Institute for Biophysical Chemistry, 37077 Göttingen, Germany.
3 Department of Ecological Science, College of Ecology and Environment, Kyungpook National University, Kyungbuk 742-711, Korea.

* Corresponding author. Email: bcsuh@dgist.ac.kr

要約

電位依存性カルシウム(Cav)チャネルは、膜電位、細胞質Ca2+、リン酸化、膜脂質によって調節されており、Ca2+の興奮性細胞への流入を制御する。Cavチャネルには、ポアを形成するα1サブユニット、補助的なα2δサブユニット、調節性のβサブユニットが含まれ、哺乳類においてはそれぞれがいくつかの遺伝子によってコードされている。β2eとβ2aは、α1サブユニットと相互作用するドメインに加えて、静電相互作用(β2e)と翻訳後アシル化(β2a)を介して、細胞膜の細胞質面とも相互作用する。われわれは、細胞質Ca2+の増加によりβ2eの膜からの遊離が促進されること、これには細胞膜から陰イオン性リン脂質ホスファチジルイノシトール4,5-二リン酸(PIP2)の顕著な減少は必要ないこと、を見出した。リポソームを用いた実験では、Ca2+が、β2eアミノ末端ペプチドの、PIP2を含む膜との相互作用を阻害することが示された。Ca2+のカルモジュリン(CaM)との結合は、CaMを介したCav電流の不活性化を引き起こす。β2aと共発現させたCav2.2では、Ca2+介在性のチャネル活性低下のために、CaMのCa2+依存性活性化が必要であったが、β2eと共発現させたCav2.2では、Ca2+非感受性CaMの存在下でも、Ca2+に依存したチャネルの不活性化が認められた。PIP2量の減少を誘導するとCav2.2電流が減少し、β2eを共発現する細胞においては、細胞内Ca2+の増加によってCav2.2電流がさらに減少したが、多塩基領域をもたないβ2e型を共発現する細胞では、そのようなさらなる減少は認められなかった。ホルモンまたは神経伝達物質により活性化される多数の受容体が、PIP2加水分解を刺激し、細胞質Ca2+を増加させる。したがって、われわれの結果からは、β2eがそのような受容体介在性シグナルを統合し、Cav活性を制限している可能性が示唆される。

Citation: D.-I. Kim, H.-J. Kweon, Y. Park, D.-J. Jang, B.-C. Suh, Ca2+ controls gating of voltage-gated calcium channels by releasing the β2e subunit from the plasma membrane. Sci. Signal. 9, ra67 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2016年7月5日号

Editors' Choice

Hippoが入り乱れると細胞増殖は抑制されない

Research Article

Ca2+は細胞膜からβ2eサブユニットを遊離させることによって電位依存性カルシウムチャネルの開口を制御する

悪性高熱症に関連したRYR1変異は出血異常にも関連している

Research Resources

蛍光発光-ブリルアンイメージングを用いた組織内生細胞の細胞内機械的特性のマッピング

最新のResearch Article記事

2025年04月22日号

がん細胞の再上皮化がオートファジーとDNA損傷を増加させる:乳がんの休眠と再発への影響

2025年04月08日号

統合失調症治療薬チオチキセンはアルギナーゼ1および連続的なエフェロサイトーシスを誘導することによってマクロファージを刺激して病原性細胞を除去する

2025年04月01日号

RIPK3はニューロンでRHIMドメイン依存性の抗ウイルス炎症転写を調整する

2025年03月25日号

細胞内RNAに結合するループス由来自己抗体はcGASに媒介される腫瘍免疫を活性化し、RNAを細胞へ送達することができる

2025年03月18日号

転移性前立腺がんにおいてキナーゼPLK1は、抗アンドロゲン剤エンザルタミドに対するヘッジホッグシグナル伝達依存性の耐性を促進する