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ヒストンデアセチラーゼ3はサイトカインシグナル伝達とマトリックスリモデリングによって軟骨内骨化を支持する

Histone deacetylase 3 supports endochondral bone formation by controlling cytokine signaling and matrix remodeling

Research Article

Sci. Signal. 09 Aug 2016:
Vol. 9, Issue 440, pp. ra79
DOI: 10.1126/scisignal.aaf3273

Lomeli R. Carpio1,2, Elizabeth W. Bradley3, Meghan E. McGee-Lawrence4,5, Megan M. Weivoda6, Daniel D. Poston2,7, Amel Dudakovic3, Ming Xu8, Tamar Tchkonia8, James L. Kirkland8, Andre J. van Wijnen2,3,Merry Jo Oursler2,6, and Jennifer J. Westendorf2,3,*

1 Mayo Graduate School, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.
2 Department of Biochemistry and Molecular Biology, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.
3 Department of Orthopedic Surgery, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.
4 Department of Cellular Biology and Anatomy, Medical College of Georgia, Augusta University, Augusta, GA 30912, USA.
5 Institute of Regenerative and Reparative Medicine, Augusta University, Augusta, GA 30912, USA.
6 Division of Endocrinology, Diabetes, Metabolism and Nutrition, Department of Medicine, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.
7 Creighton University, Omaha, NE 68102, USA.
8 Robert and Arlene Kogod Center on Aging, Mayo Clinic, Rochester, MN 55905, USA.

* Corresponding author. Email: westendorf.jennifer@mayo.edu

要約  ヒストンデアセチラーゼ(HDAC)阻害薬は、一部のがんや神経疾患に有効なエピジェネティックスに基づいた治療法である。しかし、これらの阻害薬はそれぞれが複数のHDACを阻害し、骨格に有害作用を及ぼす。HDAC阻害薬が軟骨内骨化にどのように影響するのかをより深く理解するために、われわれは、II型コラーゲンα1(Col2α1)を発現する軟骨細胞においてHDAC阻害薬の標的の1つであるHdac3を出生前と出生後にコンディショナルに欠失させた。胎生期でのHdac3欠失は致死的であったが、出生後の欠失では二次骨化中心形成が遅れ、成長板軟骨細胞の成熟が変化し、一次海綿質の破骨細胞活性が促進された。HDAC3欠失軟骨細胞では、サイトカインとマトリックス分解系遺伝子(Il-6Mmp3Mmp13Saa3)の発現量が増加し、細胞外マトリックスの産生、骨の発達、骨形成に関連する遺伝子(AcanCol2a1IhhCol10a1)の存在量が減少した。ヒストンのアセチル化は、発現量の増加していた遺伝子とその近隣で増加した。HDAC3欠失軟骨細胞では、核内因子κB(NF-κB)のアセチル化と活性化も促進された。サイトカインシグナル伝達の亢進によってJanusキナーゼ(JAK)–シグナル伝達性転写因子(STAT)経路とNF-κB経路のオートクリン活性化が促進され、破骨細胞や骨吸収のパラクリン活性化だけでなく軟骨細胞の成熟も抑制された。インターロイキン6(IL-6)–JAK–STATシグナル伝達、NF-κBシグナル伝達、ブロモドメイン・特異的端末配列含有タンパク質(アセチル化リジンを認識して転写伸長を促進する)を阻害すると、HDAC3欠失軟骨細胞におけるIl-6Mmp13の発現と、破骨細胞の二次的活性化が顕著に減少した。JAK阻害薬ルキソリチニブもHdac3コンディショナルノックアウトマウスにおいて破骨細胞の活性を低下させた。このように、HDAC3は軟骨細胞において組織リモデリング遺伝子の時間的・空間的発現と炎症反応を調節し、発達期の適切な軟骨内骨化を確実にする。

Citation: L. R. Carpio, E. W. Bradley, M. E. McGee-Lawrence, M. M. Weivoda, D. D. Poston, A. Dudakovic, M. Xu, T. Tchkonia, J. L. Kirkland, A. J. van Wijnen, M. J. Oursler, J. J. Westendorf, Histone deacetylase 3 supports endochondral bone formation by controlling cytokine signaling and matrix remodeling. Sci. Signal. 9, ra79 (2016).

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2016年8月9日号

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