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長期増強がシナプスのリン酸化ネットワークを調節し、シナプス後インタラクトームの構造を再構築する

Long-term potentiation modulates synaptic phosphorylation networks and reshapes the structure of the postsynaptic interactome

Research Resources

Sci. Signal. 09 Aug 2016:
Vol. 9, Issue 440, pp. rs8
DOI: 10.1126/scisignal.aaf6716

Jing Li1, Brent Wilkinson1, Veronica A. Clementel1, Junjie Hou2, Thomas J. O’Dell3, and Marcelo P. Coba1,4,*

1 Zilkha Neurogenetic Institute, Los Angeles, CA, 90089, USA.
2 National Laboratory of Bio-Macromolecules, Institute of Biophysics, Chinese Academy of Sciences, Beijing 100101, China.
3 Department of Physiology, David Geffen School of Medicine, University of California, Los Angeles, Los Angeles, CA 90024, USA.
4 Department of Psychiatry and Behavioral Sciences, Keck School of Medicine, University of Southern California, Los Angeles, CA 90089, USA.

* Corresponding author. Email: coba@usc.edu

要約  ニューロンのシナプス後部は、タンパク質間相互作用複合体として配置された1,500を超えるタンパク質からなり、その構成は複合シグナル伝達ネットワークの作用を介したタンパク質のリン酸化によって調節されている。これらのネットワークの構成要素は、シナプス可塑性、なかでも海馬の長期増強(LTP)の重要な調節因子として機能する。シナプス後膜肥厚部(PSD)は、受容体、酵素、足場タンパク質、構造タンパク質などの多成分からなる複雑な構造体である。われわれは、マウス海馬CA1領域にLTPを引き起こしたうえで、大規模解析を実施し、リン酸化に媒介されるPSD内イベントと、LTP誘導に伴うPSDのタンパク質間インタラクトームの変化を同定した。われわれのデータは、LTPによってPSDの再構築が誘導されたことを示していた。PSDの動的な再構築は、グルタミン酸受容体シグナル伝達を、タンパク質のリン酸化によって調節される標的タンパク質や結合パートナーのリン酸化状態を認識するタンパク質(読み手)だけでなく、キナーゼ(書き手)やホスファターゼ(消し手)にも関連付けている。タンパク質のリン酸化ネットワークと相互作用ネットワークは、PSDネットワーク内の高度に接続されたノードに収束する。さらに、足場タンパク質Shank3、Syngap1、Dlgap1、Dlg4など、LTPによって調節されるリン酸化タンパク質は、統合失調症と自閉症スペクトラム症の「PSDリスク」を象徴しており、これらのタンパク質を解析の対象外とした場合にはPSDとこれら2つの精神疾患の関連は認められなかった。これらのデータは今後のLTP研究に役立つ豊富な資源であり、シナプス可塑性に影響する複雑な神経疾患に寄与する分子イベントを理解するうえでPSDが重要な鍵となることを示唆している。

Citation: J. Li, B. Wilkinson, V. A. Clementel, J. Hou, T. J. O'Dell, M. P. Coba, Long-term potentiation modulates synaptic phosphorylation networks and reshapes the structure of the postsynaptic interactome. Sci. Signal. 9, rs8 (2016). 

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