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RasおよびTGF-βシグナル伝達はΔNp63転写プログラムを推進することによってがんの進行を促進する

Ras and TGF-β signaling enhance cancer progression by promoting the ΔNp63 transcriptional program

Research Article

Sci. Signal. 23 Aug 2016:
Vol. 9, Issue 442, pp. ra84
DOI: 10.1126/scisignal.aag3232

Eleftheria Vasilaki1, Masato Morikawa1, Daizo Koinuma2, Anna Mizutani2, Yudai Hirano2, Shogo Ehata2, Anders Sundqvist1, Natsumi Kawasaki2, Jessica Cedervall3, Anna-Karin Olsson3, Hiroyuki Aburatani4, Aristidis Moustakas1,3, Kohei Miyazono1,2,*, and Carl-Henrik Heldin1,*

1 Ludwig Cancer Research, Science for Life Laboratory, Uppsala University, Box 595, Biomedical Center, SE-751 24 Uppsala, Sweden.
2 Department of Molecular Pathology, Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Bunkyo-ku, Tokyo 113-0033, Japan.
3 Department of Medical Biochemistry and Microbiology, Science for Life Laboratory, Uppsala University, SE-751 23 Uppsala, Sweden.
4 Genome Science Division, Research Center for Advanced Science and Technology, The University of Tokyo, Meguro-ku, Tokyo 153-8904, Japan.

* Corresponding author. Email: miyazono@m.u-tokyo.ac.jp (K.M.); c-h.heldin@licr.uu.se (C.-H.H.)

要約  転写因子のp53ファミリーには、上皮細胞における遺伝子発現のマスター制御因子であるp63が含まれる。p63が腫瘍抑制性であるのか腫瘍形成性であるのかを判断することは、アイソフォーム特異的で細胞状況に依存するタンパク質会合や、変異p53による拮抗作用によって複雑になる。ΔNp63は、アミノ末端切断型アイソフォーム、つまり、上皮由来のがん細胞に発現する主要なアイソフォームである。変異p53とΔNp63を有するHaCaTケラチノサイトにおいて、われわれは、変異p53はΔNp63転写活性に拮抗するが、Rasまたはトランスフォーミング増殖因子–β(TGF-β)シグナル伝達経路の活性化により、変異p53の存在量が減少し、ΔNp63の標的遺伝子結合と活性が強化されることを見出した。ΔNp63誘導性遺伝子の産物の中には、二重特異性ホスファターゼ6(DUSP6)があり、DUSP6は、おそらくはp53を脱リン酸化することによって、変異p53の分解を促進した。p53変異乳がんおよび皮膚扁平上皮がん細胞の培養において、すべての型のp63またはDUSP6およびDUSP7(DUSP6/7)をノックダウンすると、基礎の、あるいは、TGF-β誘導性または上皮成長因子(Rasを活性化させる)誘導性の遊走および浸潤が阻害された。逆に、乳がん細胞にΔNp63を過剰発現させ、マウスの心臓内に注射すると、さまざまな組織にコロニー形成する能力が高まり、このようなコロニー形成能の上昇は、これらのΔNp63過剰発現細胞のDUSP6/7をノックダウンすると阻害された。さまざまな腫瘍におけるΔNp63の高い存在量に、患者の予後不良との相関が認められ、p53をコードする遺伝子の変異もある腫瘍を有する患者において、この相関がより強かった。したがって、発がん性のRasおよびTGF-βシグナル伝達は、ΔNp63転写プログラムの活性化を通じて、がんの進行を促進する。

Citation: : E. Vasilaki, M. Morikawa, D. Koinuma, A. Mizutani, Y. Hirano, S. Ehata, A. Sundqvist, N. Kawasaki, J. Cedervall, A.-K. Olsson, H. Aburatani, A. Moustakas, K. Miyazono, C.-H. Heldin, Ras and TGF-β signaling enhance cancer progression by promoting the ΔNp63 transcriptional program. Sci. Signal. 9, ra84 (2016).

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