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In vivoではグルココルチコイドおよび食事応答経路が脂肪細胞前駆細胞の活性を切り替える

A glucocorticoid- and diet-responsive pathway toggles adipocyte precursor cell activity in vivo

Research Article

Sci. Signal. 25 Oct 2016:
Vol. 9, Issue 451, pp. ra103
DOI: 10.1126/scisignal.aag0487

Janica C. Wong1, Katherine C. Krueger1, Maria José Costa1, Abhishek Aggarwal1, Hongqing Du1, Tracey L. McLaughlin2, and Brian J. Feldman1,3,*

1 Department of Pediatrics/Endocrinology, Stanford University School of Medicine, Lokey Stem Cell Research Building, 259 Campus Drive, Stanford, CA 94305, USA.
2 Department of Medicine/Endocrinology, Stanford University School of Medicine, 300 Pasteur Drive, Stanford, CA 94305, USA.
3 Program in Regenerative Medicine, Stanford University School of Medicine, Lokey Stem Cell Research Building, Stanford, CA 94305, USA.

* Corresponding author. Email: feldman@stanford.edu

要約

肥満は、過剰なカロリー摂取により、脂肪組織が肥大や過形成を起こして増大することによって推進される。脂肪組織過形成は、脂肪貯蔵部位に存在する脂肪細胞前駆細胞(APC)の分化によって生じる。この過程の研究により、分化過程を通じてAPCを動かす転写因子で主に構成されるネットワークが、明らかにされている。われわれの研究では、in vitroおよびin vivo手法を用いて、脂肪細胞分化プログラムの開始を阻害するシグナル伝達経路を明らかにした。マウス脂肪細胞は細胞外プロテアーゼADAMTS1を分泌し、ADAMTS1は、Wnt/β-カテニン経路を介してサイトカインであるプレイオトロフィン(PTN)の産生を誘発し、APCの分化ではなく増殖を促進した。in vitroまたはin vivoでのグルココルチコイド曝露により、脂肪細胞のADAMTS1存在量が減少した。さらに、高脂肪食を与えたマウスにおいて、食事に応答した脂肪生成により増大する性腺周囲の内臓脂肪貯蔵部位ではAdamts1 発現の低下が認められ、脂肪生成を誘導しない鼠径部の皮下脂肪貯蔵部位ではAdamts1 発現の増加が認められた。マウス皮下脂肪組織で起こったことと同様に、食事誘導性の体重増加により、ヒトボランティアの皮下脂肪貯蔵部位ではADAMTS1PTN、さらには特定のWnt標的遺伝子の発現が増加したことから、この経路が、生理的な脂肪組織の恒常性と肥満の病因に関連することが示唆された。したがってこの経路は、分化か増殖かの決定を調節し、全身性のシグナルに対する脂肪組織の応答を調整する、APC上のトグルとして機能する。

Citation: J. C. Wong, K. C. Krueger, M. J. Costa, A. Aggarwal, H. Du, T. L. McLaughlin, B. J. Feldman, A glucocorticoid- and diet-responsive pathway toggles adipocyte precursor cell activity in vivo. Sci. Signal. 9, ra103 (2016).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

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