• ホーム
  • YAPを介した機械的シグナル伝達が損傷に対するポドサイトの応答を決定する

YAPを介した機械的シグナル伝達が損傷に対するポドサイトの応答を決定する

YAP-mediated mechanotransduction determines the podocyte’s response to damage

Research Article

Sci. Signal. 11 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 474, eaaf8165
DOI: 10.1126/scisignal.aaf8165

Markus M. Rinschen1,2,3,4, Florian Grahammer5,6,*, Ann-Kathrin Hoppe1,2,*, Priyanka Kohli1,2,3, Henning Hagmann1,2, Oliver Kretz5,6,7, Sabine Bertsch1,2, Martin Höhne1,2,3,4, Heike Göbel8, Malte P. Bartram1,2, Rajesh Kumar Gandhirajan1, Marcus Krüger2,3, Paul-Thomas Brinkkoetter1,2, Tobias B. Huber5,6,9,10, Martin Kann1,2, Sara A. Wickström3,11, Thomas Benzing1,2,3,4,†, and Bernhard Schermer1,2,3,4,†

1 Department of Internal Medicine II, University of Cologne, Cologne, Germany.
2 Center for Molecular Medicine Cologne, University of Cologne, Cologne, Germany.
3 Cologne Cluster of Excellence in Cellular Stress Responses in Aging-associated Diseases, University of Cologne, Cologne, Germany.
4 Systems Biology of Ageing Cologne, University of Cologne, Cologne, Germany.
5 Department of Medicine IV, Medical Center and Faculty of Medicine, University of Freiburg, Freiburg, Germany.
6 III. Medical Clinic and Polyclinic, University Medical Center Hamburg-Eppendorf, Hamburg, Germany.
7 Department of Neuroanatomy, Institute of Anatomy, Faculty of Medicine, University of Freiburg, Freiburg, Germany.
8 Institute of Pathology, University of Cologne, Cologne, Germany.
9 BIOSS Centre for Biological Signalling Studies, Albert-Ludwigs-University Freiburg, Freiburg, Germany.
10 Center for Biological Systems Analysis (ZBSA), Albert-Ludwigs-University Freiburg, Freiburg, Germany.
11 Skin Homeostasis and Ageing, Paul Gerson Unna Research Group, Max Planck Institute for Biology of Ageing, Cologne, Germany.

† Corresponding author. Email: thomas.benzing@uk-koeln.de (T.B.); bernhard.schermer@uk-koeln.de (B.S.)

* These authors contributed equally to this work.

要約

ポドサイトは腎濾過バリアとなる最終分化細胞である。この細胞には生理的な濾過圧と著しい機械的歪みが加わっており、それらは種々の腎臓病においてさらに増加すると考えられる。損傷がこれらの細胞の細胞骨格の再構築および形態学的変化を引き起こすとき、この濾過バリアが損なわれ、尿中へのタンパク質の漏出(タンパク尿と呼ばれる状態)がもたらされると考えられる。われわれは時間分解プロテオミクスを用い、タンパク尿発症前のラット糸球体性疾患モデルにおいてポドサイトの損傷が転写コアクチベーターYAPの活性およびYAP標的遺伝子の発現を刺激することを明らかにした。大半の細胞種においてYAPとそのオルソログであるTAZの活性は機械的ストレスにより上昇するものの、硬い基質上で増殖したヒトおよびマウスの培養ポドサイト株では、損傷によってYAPおよびTAZの活性が低下した。これらの細胞を軟性のマトリクス上で培養したり、ストレスファイバーの形成を阻害したりすることで、生体内で観察される損傷誘発性のYAP上方制御が再現された。このことは、ポドサイトでは機械的シグナル伝達依存性のYAP活性化という機構があることを示唆している。培養したポドサイトにおけるYAPの過剰発現は、線維化に寄与すると考えられる細胞外マトリクス関連タンパク質の存在量を増加させた。また、マウスの糸球体性疾患モデルではYAP活性が亢進しており、糸球体性疾患患者からの腎生検においてYAPの標的であるCTGFは高発現していた。マウスにおけるヒトYAPの過剰発現は軽度タンパク尿を誘導したが、ラットにおけるYAPとそのパートナーであるTEAEの相互作用の薬理学的阻害は糸球体性疾患を改善し、糸球体における損傷誘発性の機械的シグナル伝達を減少させた。このようにYAP依存性機械的シグナル伝達の撹乱は、一部の糸球体性疾患の治療標的候補である。

Citation: M. M. Rinschen, F. Grahammer, A.-K. Hoppe, P. Kohli, H. Hagmann, O. Kretz, S. Bertsch, M. Höhne, H. Göbel, M. P. Bartram, R. K. Gandhirajan, M. Krüger, P.-T. Brinkkoetter, T. B. Huber, M. Kann, S. A. Wickström, T. Benzing, B. Schermer, YAP-mediated mechanotransduction determines the podocyte's response to damage. Sci. Signal. 10, eaaf8165 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年4月11日号

Editors' Choice

Hippoによって調節される抗ウイルス防御

Research Article

転写因子MAFKは標的GPNMBを介してトリプルネガティブ乳がん細胞のEMTと悪性進行を誘導する

YAPを介した機械的シグナル伝達が損傷に対するポドサイトの応答を決定する

Research Resources

タンパク質ホスファターゼのゲノミクスと進化

最新のResearch Article記事

2026年03月17日号

非リン酸化の閉じた構造のエズリンはRNAに結合し骨肉腫細胞において転移表現型を維持する

2026年03月17日号

転写因子HAT1の酸化還元制御がシロイヌナズナ(Arabidopsis thaliana)において基底防御を制限し、感染に対する反応を促進する

2026年03月10日号

外因性デリバリーのために再設計されたヒトおよびマウスの長鎖非コードRNAがヒトマクロファージおよびマウスにおいてLPS誘発性炎症を軽減する

2026年03月03日号

グルコース代謝は大腸がんにおいてグリコシル化した局所シグナル伝達因子を介して異常なSTAT3シグナル伝達を持続させる

2026年02月17日号

GPR97/ADGRG3のテザーアゴニストによる活性化は好中球の極性化と遊走を誘導するが、ベクロメタゾンではそのような作用は認められない