• ホーム
  • タンパク質ホスファターゼのゲノミクスと進化

タンパク質ホスファターゼのゲノミクスと進化

Genomics and evolution of protein phosphatases

Research Resources

Sci. Signal. 11 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 474, eaag1796
DOI: 10.1126/scisignal.aag1796

Mark J. Chen1,2,*, Jack E. Dixon3, and Gerard Manning1,2,†,‡

1 Department of Bioinformatics and Computational Biology, Genentech Inc., South San Francisco, CA 94080, USA.
2 Razavi Newman Center for Bioinformatics, Salk Institute for Biological Studies, La Jolla, CA 94027, USA.
3 Departments of Pharmacology, Cellular and Molecular Medicine, and Chemistry and Biochemistry, University of California, San Diego, La Jolla, CA 92093, USA.

‡ Corresponding author. Email: manning@manninglab.org

* Present address: Department of Pathology, St. Jude Children's Research Hospital, Memphis, TN 38015, USA.

† Present address: Genentech, South San Francisco, CA 94080, USA.

要約

タンパク質ホスファターゼは、タンパク質キナーゼとは本質的に正反対であり、両酵素が組み合わさって、すべてのタンパク質リン酸化とほとんどの細胞プロセスを調節する。タンパク質リン酸化の全体的な役割をよりよく理解するため、189の既知および予測ヒトタンパク質ホスファターゼ遺伝子からなるヒトタンパク質ホスファトームをカタログ化した。われわれはまた、79のタンパク質ホスファターゼの偽遺伝子あるいはレトロ遺伝子を同定したが、それらのいくつかは残存機能をもつ可能性がある。われわれは、原生生物であるタマホコリカビ(Dictyostelium)からウニまで、他の8つの真核生物についてタンパク質ホスファトームを構築することにより、ホスファターゼの起源と多様性を追跡した。われわれは、全9種がもつタンパク質ホスファターゼを、10のタンパク質フォールド、21のファミリー、と178のサブファミリーの階層に分類した。われわれは、101のヒトサブファミリーの80%以上が動物界全体で保存されているが、個々のサブファミリーの消失や拡大、アクセサリードメインの変化など、進化にかなりの違いがあることを見出した。タンパク質ホスファターゼは、主要モデル生物において、かなりの消失を伴う、キナーゼと同様の進化的ダイナミクスを示す。配列分析は、26のヒトタンパク質ホスファターゼドメインが触媒的に不活化されており、この不活化はオーソログ全体でほぼ保存されていると予測している。タンパク質ホスファターゼに関するこのゲノムおよび進化的観点は、動物界全体のタンパク質リン酸化の網羅的解析の枠組みを提供する。

Citation: M. J. Chen, J. E. Dixon, G. Manning, Genomics and evolution of protein phosphatases.Sci. Signal. 10, eaag1796 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年4月11日号

Editors' Choice

Hippoによって調節される抗ウイルス防御

Research Article

転写因子MAFKは標的GPNMBを介してトリプルネガティブ乳がん細胞のEMTと悪性進行を誘導する

YAPを介した機械的シグナル伝達が損傷に対するポドサイトの応答を決定する

Research Resources

タンパク質ホスファターゼのゲノミクスと進化

最新のResearch Resources記事

2025年02月25日号

シークエンシングに基づくスクリーニング法により線虫の非生存性変異体からEGFRシグナル伝達の調節因子を同定

2024年11月05日号

細胞表面を標的としたTurboIDによる細胞外近位相互作用プロファイリングによりLDLRがリガンド結合EGFRのパートナーであることが明らかに

2024年10月08日号

新規鎮痛薬開発のためのタンパク質-タンパク質相互作用の探索

2024年06月18日号

コンフォメーションおよび活性化ベースのBRETセンサーはGPCR-Gタンパク質カップリングを差動的に報告する

2024年06月11日号

BAP1欠損ぶどう膜黒色腫細胞の遅い増殖はS6シグナル伝達の抑制および栄養ストレス抵抗性と関連する