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FOXM1阻害因子RCM-1はアレルゲンに曝露されたマウスにおいて杯細胞の異形成を抑制し、IL-13とSTAT6のシグナル伝達を妨げる

The FOXM1 inhibitor RCM-1 suppresses goblet cell metaplasia and prevents IL-13 and STAT6 signaling in allergen-exposed mice

Research Article

Sci. Signal. 18 Apr 2017:
Vol. 10, Issue 475, eaai8583
DOI: 10.1126/scisignal.aai8583

Lifeng Sun1,2,3, Xiaomeng Ren2,3,4, I-Ching Wang3,5, Arun Pradhan2,3,4, Yufang Zhang2,3,4, Hannah M. Flood2,3, Bo Han1, Jeffrey A. Whitsett3,4, Tanya V. Kalin3,4, and Vladimir V. Kalinichenko2,3,4,*

1 Department of Pediatrics, Shandong Provincial Hospital Affiliated to Shandong University, Jinan, Shandong 250021, China.
2 Center for Lung Regenerative Medicine, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
3 Division of Pulmonary Biology, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
4 Perinatal Institute, Cincinnati Children's Hospital Medical Center, Cincinnati, OH 45229, USA.
5 Department of Life Sciences, National Tsing Hua University, Hsinchu 30013, Taiwan.

* Corresponding author. Email: vladimir.kalinichenko@cchmc.org

要約

喘息、嚢胞性線維症、慢性閉塞性肺疾患に伴う杯細胞の異形成と過剰な粘液分泌は、世界中で罹患率と死亡率に寄与している。われわれは、アレルゲンに応答した杯細胞の分化に不可欠な転写制御ネットワークを標的とする低分子を同定する目的で、ハイスループットスクリーニングを行った。そして、アレルゲン曝露後のマウスにおいて、杯細胞の異形成と過剰な粘液産生を阻害する無毒性低分子RCM-1を同定した。RCM-1は、核局在化を阻止し、気道前駆細胞由来の杯細胞の分化に不可欠な転写因子フォークヘッドボックスM1(FOXM1)のプロテアソーム分解を亢進した。杯細胞の異形成を引き起こすチリダニとインターロイキン13(IL-13)に曝露されたマウスにおいて、RCM-1は気道抵抗を低下させ、肺コンプライアンスを上昇させ、炎症性サイトカイン産生を減少させた。培養気道上皮細胞とマウスにおいて、RCM-1はIL-13とSTAT6(シグナル伝達性転写因子6)のシグナル伝達を低下させ、杯細胞の分化の主要な転写制御因子であるSTAT6標的遺伝子SpdefFoxa3の発現を阻害した。これらの結果は、RCM-1が杯細胞の異形成とIL-13シグナル伝達の阻害因子であり、喘息などの慢性気道疾患を有する患者を治療するための新たな治療候補をもたらすことを示唆している。

Citation: L. Sun, X. Ren, I.-C. Wang, A. Pradhan, Y. Zhang, H. M. Flood, B. Han, J. A. Whitsett, T. V. Kalin, V. V. Kalinichenko, The FOXM1 inhibitor RCM-1 suppresses goblet cell metaplasia and prevents IL-13 and STAT6 signaling in allergen-exposed mice. Sci. Signal. 10, eaai8583 (2017).

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2017年4月18日号

Editor's Choice

ハイライト:チリダニによる喘息の発症を阻止する新たな方法

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