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アミロイドβオリゴマーのAβ*56はタウのリン酸化と凝集を引き起こす神経シグナル伝達において特異的な変化を誘導する

The amyloid-β oligomer Aβ*56 induces specific alterations in neuronal signaling that lead to tau phosphorylation and aggregation

Research Article

Sci. Signal. 09 May 2017:
Vol. 10, Issue 478, eaal2021
DOI: 10.1126/scisignal.aal2021

オリゴマー型のアミロイド形成タンパク質は、アルツハイマー病(AD)などの多くの神経変性疾患における主要な生理活性開始物質であると考えられている。アミロイドβ(Aβ)のオリゴマーは、ADに関連する微小管結合タンパク質タウのリン酸化と凝集に関与する。多様な会合体によって活性化される特異的な分子経路を調べるために、われわれは、ADモデルマウスであるTg2576マウスからさまざまな形態のAβを単離した。そして、ADの明らかな徴候がみられるようになる前の患者で検出される56 kDaのオリゴマーAβ*56が、神経シグナル伝達において、特異的な変化を誘導することを見出した。初代培養皮質ニューロンでは、Aβ*56はN-メチルDアスパラギン酸受容体(NMDAR)と相互作用し、NMDAR依存性Ca2+流入を促進し、結果的に細胞内カルシウム濃度を上昇させ、Ca2+依存性カルモジュリンキナーゼIIα(CaMKIIα)の活性化を亢進した。培養ニューロンとTg2576マウスの脳では、活性化されたCaMKIIαは、タウの部位特異的リン酸化の増加と誤った局在化と関連したが、これらはいずれもADの病理と関連する。対照的に、初代培養皮質ニューロンを他のオリゴマー型(二量体や三量体)のAβに曝露させても、このような作用は引き起こされなかった。これらの結果は、特徴的なAβ会合体が神経シグナル伝達経路を選択に活性化することと、各オリゴマーによって引き起こされる分子イベントを詳細に調べれば、より有効な治療戦略に関する情報が得られる可能性があることを示している。

Citation: F. Amar, M. A. Sherman, T. Rush, M. Larson, G. Boyle, L. Chang, J. Götz, A. Buisson, S. E. Lesné, The amyloid-β oligomer Aβ*56 induces specific alterations in neuronal signaling that lead to tau phosphorylation and aggregation. Sci. Signal. 10, eaal2021 (2017).

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