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ニッチ由来ラミニン511はYAPを介して中脳ドーパミン作動性ニューロンの生存と分化を促進する

Niche-derived laminin-511 promotes midbrain dopaminergic neuron survival and differentiation through YAP

Research Article

Sci. Signal. 22 Aug 2017:
Vol. 10, Issue 493, eaal4165
DOI: 10.1126/scisignal.aal4165

Dawei Zhang, Shanzheng Yang, Enrique M. Toledo, Daniel Gyllborg, Carmen Saltó, J. Carlos Villaescusa*, and Ernest Arenas

Laboratory of Molecular Neurobiology, Department of Medical Biochemistry and Biophysics, Karolinska Institutet, Stockholm SE-17177, Sweden.

† Corresponding author. Email: ernest.arenas@ki.se

* Present address: Psychiatric Stem Cell Group, Neurogenetics Unit, Center for Molecular Medicine, Karolinska University Hospital, 171 76 Stockholm, Sweden.

要約
パーキンソン病(PD)は、中脳のドーパミン作動性ニューロン(mDAニューロン)の消失によって運動制御・機能の進行性消失を引き起こす神経変性疾患である。われわれは、胚性ニューロンとmDAニューロン、マウス由来の中脳組織、分化したヒト神経幹細胞を用いて、mDAニューロンの生存を制御する機構を調べた。そして、細胞外基質タンパク質ラミニン511(LM511)がmDAニューロンの生存と分化を促進することを見出した。LM511はインテグリンα3β1に結合し、転写補助因子YAPを活性化した。LM511-YAPシグナル伝達は、マイクロRNAのmiR-130aの発現を誘導することによって細胞の生存を亢進した。miR-130aは、細胞死関連タンパク質PTENの合成を抑制した。さらに、LM511-YAPシグナル伝達は、LMX1AやPITX3など、mDA固有の性質に不可欠な転写因子の発現を促進し、酸化ストレスに応答したmDAニューロンの消失を阻止した。この知見は、PD患者の治療可能性を評価するためのさらなる研究を正当化するものである。われわれは、LM511-YAPシグナル伝達を促進することによって、PDにおけるmDAニューロン変性を予防できる、もしくは、細胞置換療法におけるmDAニューロンの生存を亢進できる可能性があることを提唱する。

Citation: D. Zhang, S. Yang, E. M. Toledo, D. Gyllborg, C. Saltó, J. Carlos Villaescusa, E. Arenas, Niche-derived laminin-511 promotes midbrain dopaminergic neuron survival and differentiation through YAP. Sci. Signal. 10, eaal4165 (2017).

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