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レスベラトロールはヒトCD4+ T細胞の代謝リプログラミングを刺激してエフェクター機能を強化する

Resveratrol stimulates the metabolic reprogramming of human CD4+ T cells to enhance effector function

Research Article

Sci. Signal. 17 Oct 2017:
Vol. 10, Issue 501, eaal3024
DOI: 10.1126/scisignal.aal3024

Marco Craveiro1,2,*, Gaspard Cretenet1,*, Cédric Mongellaz1, Maria I. Matias1, Olivier Caron3,4, Maria C. Pedroso de Lima2, Valérie S. Zimmermann1, Eric Solary3,4, Valérie Dardalhon1, Vjekoslav Dulić1,†, and Naomi Taylor1,†

1 IGMM, CNRS, Université de Montpellier, Montpellier, France.
2 CNC-Centre for Neuroscience and Cell Biology, University of Coimbra, Coimbra, Portugal.
3 INSERM U1170, Gustave Roussy Cancer Center, Villejuif, France.
4 Faculty of Medicine, Université Paris-Sud, Le Kremlin-Bicêtre, France.

† Corresponding author. Email: vjekoslav.dulic@igmm.cnrs.fr (V.D.); taylor@igmm.cnrs.fr (N.T.)

* These authors contributed equally to this work.

要約
ポリフェノールのレスベラトロールは、脱アセチル化酵素Sirt1を活性化することで、抗酸化的、化学防御的、神経保護的、心保護的、抗炎症的などさまざまな作用をもたらす。われわれは、高濃度のレスベラトロールに対して、ヒトCD4+ T細胞が抗原受容体シグナル伝達の欠損と細胞周期のG1期での停止を示す一方、低濃度では、細胞が容易に活性化され、Sirt1の脱アセチル化酵素活性の増強が認められることを見出した。それにもかかわらず、低用量のレスベラトロールはT細胞において遺伝毒性ストレスを速やかに刺激し、キナーゼATR[毛細血管拡張性運動失調症変異(ATM)・Rad3関連]に依存するDNA損傷応答経路を作動させたが、ATM依存性経路は作動させず、続いて有糸分裂前の細胞周期停止を引き起こした。同時に活性化したp53により、細胞代謝を調節する遺伝子産物の発現が共役され、解糖の減少、グルタミン消費の増加、酸化的リン酸化への移行を特徴とする代謝リプログラミングがもたらされた。CD4+ T細胞の生体エネルギー恒常性におけるこれらの変化により、エフェクター機能が強化され、ナイーブCD4+ T細胞とメモリーCD4+ T細胞の両方で、炎症性サイトカインインターフェロン-γの分泌量が増加した。このように、われわれのデータは、CD4+ Tリンパ球がゲノムストレスに応答して起こす幅広い代謝的適応を明らかにしている。

Citation: M. Craveiro, G. Cretenet, C. Mongellaz, M. I. Matias, O. Caron, M. C. P. de Lima, V. S. Zimmermann, E. Solary, V. Dardalhon, V. Dulić, N. Taylor, Resveratrol stimulates the metabolic reprogramming of human CD4+ T cells to enhance effector function. Sci. Signal. 10, eaal3024 (2017).

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