• ホーム
  • 嗅覚経験は線虫において熱ショック転写因子HSF-1をプライミングして分子シャペロンの発現を増強する

嗅覚経験は線虫において熱ショック転写因子HSF-1をプライミングして分子シャペロンの発現を増強する

Olfactory experience primes the heat shock transcription factor HSF-1 to enhance the expression of molecular chaperones in C. elegans

Research Article

Sci. Signal. 17 Oct 2017:
Vol. 10, Issue 501, eaan4893
DOI: 10.1126/scisignal.aan4893

Felicia K. Ooi and Veena Prahlad*

Department of Biology, Aging Mind and Brain Initiative, 143 Biology Building East, 338 BBE, University of Iowa, Iowa City, IA 52242, USA.

* Corresponding author. Email: veena-prahlad@uiowa.edu

要約
学習は、経験の結果として動物が行動を変える過程であり、生物が周囲の情報を合成して資源を獲得し、危険を避けることを可能にする。われわれは、病原性細菌の匂いのみで前もって処理された線虫(Caenorhabditis elegans)では、病原体に曝露後の生存のために分子シャペロンをコードする遺伝子の熱ショック因子1(HSF-1)依存的発現を増加させる準備がなされていることを示した。経験によるシャペロン遺伝子発現の増強には、転写が起こる前であっても、RNAポリメラーゼIIに富む核遺伝子座へのHSF-1の局在を促進することにより分子シャペロン遺伝子の発現を増強するようHSF-1をプライミングするセロトニンが必要であった。しかしながら、HSF-1依存的シャペロン遺伝子発現は、動物が病原体に遭遇した場合にのみ刺激された。したがって、学習は、動物がタンパク質毒性物質に迅速に応答するよう準備する転写機構を、生物体全体で先行して特異的に開始することにより、線虫が環境上の危険をより生き残れるように用意させる。これらの研究は、疾患における環境エンリッチメントがもつ疾患への保護的役割の1つの有力な基盤を提供する。

Citation: F. K. Ooi, V. Prahlad, Olfactory experience primes the heat shock transcription factor HSF-1 to enhance the expression of molecular chaperones in C. elegans. Sci. Signal. 10, eaan4893 (2017).

英文原文をご覧になりたい方はScience Signaling オリジナルサイトをご覧下さい

英語原文を見る

2017年10月17日号

Editors' Choice

エキソソームによるインスリン感受性の調整

Research Article

レスベラトロールはヒトCD4+ T細胞の代謝リプログラミングを刺激してエフェクター機能を強化する

マトリクス細胞タンパク質TSP1はCD47とNox1を介してヒトおよびマウス内皮細胞の老化を促進する

嗅覚経験は線虫において熱ショック転写因子HSF-1をプライミングして分子シャペロンの発現を増強する

最新のResearch Article記事

2025年03月11日号

骨髄のサーチュイン6欠損はノルエピネフリンの分解を誘導することによって発熱性組織機能を制限してマウスの肥満を引き起こす

2025年03月11日号

NEMOはキナーゼIKKαおよびATMのDNA損傷部位への誘導に不可欠である

2025年03月04日号

アセチルトランスフェラーゼGCN5はミクログリア細胞でNF-κBサブユニットp65をアセチル化して活性化することによりマウスの神経炎症に寄与する

2025年02月25日号

グルタミン酸作動性のアルゴノート2がマウスにおいて神経血管ユニットの形成を促進する

2025年02月18日号

バソプレシン2型受容体が媒介する持続的Gαsシグナル伝達はリガンド依存性だがエンドサイトーシスとβ-アレスチンには依存しない