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グアニル酸シクラーゼAおよびBの偽キナーゼドメインは基質に対する触媒ドメインの親和性をアロステリックに高める

The pseudokinase domains of guanylyl cyclase-A and -B allosterically increase the affinity of their catalytic domains for substrate

Research Article

Sci. Signal. 29 Jan 2019:
Vol. 12, Issue 566, eaau5378
DOI: 10.1126/scisignal.aau5378

Aaron B. Edmund1, Timothy F. Walseth2, Nicholas M. Levinson2, and Lincoln R. Potter1,2,*

1 Department of Biochemistry, Molecular Biology, and Biophysics, University of Minnesota, 6-155 Jackson Hall, 321 Church St. SE, Minneapolis, MN 55455, USA.
2 Department of Pharmacology, University of Minnesota, 6-120 Jackson Hall, 321 Church St. SE, Minneapolis, MN 55455, USA.

*Corresponding author. Email: potter@umn.edu

要約

ナトリウム利尿ペプチドは、GC-A(別名Npr1)やGC-B(別名Npr2)など、細胞内にグアニル酸シクラーゼドメインをもつ膜貫通受容体を活性化することによって複数の生理学的システムを調節する。GC-AとGC-Bはいずれも、cGMP合成を触媒するC末端のグアニル酸シクラーゼドメインの活性化に重要なリン酸化された偽キナーゼドメイン(PKD)を細胞内にもつ。GC-AとGC-BはATPによってアロステリックに活性化されることから、われわれは、PKDに結合するATPがグアニル酸シクラーゼ活性にどのように影響するのかを調べた。分子モデリングでは、原型キナーゼPKAのATP結合部位を構成する残基のうち、触媒作用をもつアスパラギン酸を除くすべての残基がGC-AおよびGC-BのPKDで保存されていることが示された。GC-AおよびGC-BのサブドメインII内のインバリアントなリジンまたはDYGループ内のインバリアントなアスパラギン酸のアラニン置換によってキナーゼを不活性化させると、酵素のリン酸含有量は減少しなくなり、PKDのキナーゼ活性の欠損と一致した。その一方で、いずれの置換変異も、ペプチドに依存した活性化に影響することなくミカエリス定数を低下させるATPの能力を阻害することによって、酵素の活性化を抑制した。GC-Bのホスホミメティックな(リン酸化を模倣した)グルタミン酸置換変異体のリジンをアラニンへ類似置換させると、酵素活性が低下し、ATPがリン酸化依存性のアロステリックな機構を介してグアニル酸シクラーゼ活性を促進させるという考えと一致した。PKD内の保存された調節性または触媒性の背骨構造が硬直するようにデザインされた変異体では、グアニル酸シクラーゼ活性が高まり、ナトリウム利尿ペプチドへの感受性が高まり、ATPの非存在下でもミカエリス定数が低下し、ATPが結合するとPKDの立体構造が触媒活性型キナーゼに類似した立体構造で安定化するという考えに一致した。われわれは、PKD内の進化的に保存されたアロステリックな機構が膜貫通グアニル酸シクラーゼの触媒活性化を促進すると結論づける。

Citation: A. B. Edmund, T. F. Walseth, N. M. Levinson, L. R. Potter, The pseudokinase domains of guanylyl cyclase-A and -B allosterically increase the affinity of their catalytic domains for substrate. Sci. Signal. 12, eaau5378 (2019).

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