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長鎖非コードRNA NEAT1はニューロンのヒストンメチル化および加齢関連記憶障害を媒介する
Long noncoding RNA NEAT1 mediates neuronal histone methylation and age-related memory impairment
Sci. Signal. 02 Jul 2019:
Vol. 12, Issue 588, eaaw9277
DOI: 10.1126/scisignal.aaw9277
Anderson A. Butler, Daniel R. Johnston, Simranjit Kaur, and Farah D. Lubin*
University of Alabama at Birmingham, Birmingham, AL 35294, USA.
* Corresponding author. Email: flubin@uab.edu
要約
ヒストンのメチル化は長期記憶の形成と維持に重要である。長鎖非コードRNA(lncRNA)は、ヒストンメチルトランスフェラーゼおよび他のクロマチン修飾酵素(CME)の調節因子であり、それによりエピジェネティックに遺伝子発現を修飾する。ここでは、トランスクリプトミクス、RNA結合タンパク質免疫沈降、CRISPR媒介遺伝子活性化(CRISPRa)、および行動学的手法の組み合わせにより、lncRNA NEAT1がいかにエピジェネティックに、海馬依存性の長期記憶形成に寄与し得るかを調べた。lncRNA Neat1のノックダウンは、遺伝子転写における広範な変化、ならびに、加齢げっ歯類の海馬で増加する抑制性ヒストン修飾マークであるヒストン3リジン9ジメチル化(H3K9me2)の異常を生じさせた。われわれは、c-Fos mRNAの発現の観察された変化と一致する、c-Fos プロモーターでのNEAT1依存性のH3K9me2による転写抑制機構を同定した。CRISPRaを用いた海馬でのNEAT1の過剰発現は、若年成体マウスにおいて記憶形成を損わせるのに十分であり、老齢マウスにおいて観察された記憶障害を再現したのに対し、若年および老齢マウスにおけるNEAT1のノックダウンは行動試験関連記憶を改善した。これらの結果は、lncRNA NEAT1が海馬依存性の長期記憶形成のエピジェネティックサプレッサーであることを示唆する。
Citation: A. A. Butler, D. R. Johnston, S. Kaur, F. D. Lubin, Long noncoding RNA NEAT1 mediates neuronal histone methylation and age-related memory impairment. Sci. Signal. 12, eaaw9277 (2019).