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短期細胞記憶はケモカイン受容体CXCR4のシグナル伝達応答を調整する

Short-term cellular memory tunes the signaling responses of the chemokine receptor CXCR4

Research Article

Sci. Signal. 09 Jul 2019:
Vol. 12, Issue 589, eaaw4204
DOI: 10.1126/scisignal.aaw4204

Phillip C. Spinosa1, Brock A. Humphries2, Daniela Lewin Mejia2, Johanna M. Buschhaus2,3, Jennifer J. Linderman1,3, Gary D. Luker2,3,4,*, and Kathryn E. Luker2,*

1 Department of Chemical Engineering, University of Michigan, Ann Arbor, MI 48109, USA.
2 Department of Radiology Center for Molecular Imaging, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109, USA.
3 Department of Biomedical Engineering, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109, USA.
4 Department of Microbiology and Immunology, University of Michigan Medical School, Ann Arbor, MI 48109, USA.

* Corresponding author. Email: gluker@umich.edu (G.D.L.); kluker@umich.edu (K.E.L.)

要約

ケモカイン受容体CXCR4は、発生、正常生理、および、がんを含む疾患における基本的な過程を調節する。CXCR4陽性細胞の小亜集団は、転移中の悪性細胞の局所浸潤および播種を促進し、ケモカインリガンドCXCL12による受容体活性化に対する単一細胞レベルでの応答を制御する機構を理解する必要性を強調している。単細胞イメージングを用いて、われわれは、環境条件の変化の短期細胞記憶がCXCR4からこの受容体によって活性化される2つのキナーゼAktとERKへのシグナル伝達を調整することを発見した。CXCL12曝露前に増殖刺激を用いて細胞を条件付けすると、CXCR4シグナル伝達を開始した細胞数およびAktおよびERK活性化の振幅が増加した。データ駆動単細胞数理モデリングは、増殖因子条件付けがPI3KおよびmTORC1における外来ノイズ(既存のキナーゼ活性の細胞間差)を減少させることにより、AktおよびERKのCXCR4依存性活性化を調節することを明らかにした。モデリングは、CXCL12-CXCR4シグナル伝達に対する単一細胞応答の調整に重要であるとしてmTORC1を確立した。われわれの単一細胞モデルは、いかにPI3K、Ras、およびmTORC1における外来ノイズの組合せが、ERKおよび/またはAkt経路における異なるドライバー突然変異と重なって、CXCR4シグナル伝達を偏らせるかを予測した。数理実験は、がん治療に用いられる選択的キナーゼ阻害剤が、細胞の一部をCXCR4活性化に対してより寛容な状態にシフトさせることを正しく予測し、このような薬物が転移性CXCR4シグナル伝達を誤って増強することを示唆した。われわれの研究は、変化する環境入力が単一細胞におけるCXCR4シグナル伝達をいかに調節するかを確立し、このシグナル伝達経路を標的とする薬物の開発および使用を最適化する枠組みを提供する。

Citation: P. C. Spinosa, B. A. Humphries, D. Lewin Mejia, J. M. Buschhaus, J.J. Linderman, G. D. Luker, K. E. Luker, Short-term cellular memory tunes the signaling responses of the chemokine receptor CXCR4. Sci. Signal. 12, eaaw4204 (2019).

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