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老化に伴う炎症の増加
More inflammatory with age
Sci. Signal. 09 Jul 2019:
Vol. 12, Issue 589, eaay6126
DOI: 10.1126/scisignal.aay6126
Wei Wong
Science Signaling, AAAS, Washington, DC 20005, USA
H. Yousef, C. J. Czupalla, D. Lee, M. B. Chen, A. N. Burke, K. A. Zera, J. Zandstra, E. Berber, B. Lehallier, V.Mathur, R. V. Nair, L. N. Bonanno, A. C. Yang, T. Peterson, H. Hadeiba, T. Merkel, J. Körbelin, M. Schwaninger,M. S. Buckwalter, S. R. Quake, E. C. Butcher, T. Wyss-Coray, Aged blood impairs hippocampal neural precursor activity and activates microglia via brain endothelial cell VCAM1. Nat. Med. 25, 988-1000 (2019).
Google Scholar
老化した脳内皮細胞のVCAM1依存性炎症は神経新生を抑制して認知能力を低下させる。
要約
老化は、脳内に常在する免疫細胞であるミクログリア(小膠細胞)の活性化を引き起こし、神経炎症を誘導する。また、海馬の歯状回内では幹細胞の細胞数減少と活性低下を引き起こし、神経新生を減少させる。Yousefらは、老化によって神経炎症が引き起こされ、神経新生が抑制され、海馬に依存した学習および記憶が低下する仕組みを調べた。脳内皮細胞(BEC)は、血液脳関門の重要な構成要素である。老化マウス、または炎症性サイトカインを眼窩後部に注射したマウスのBECでは、内皮細胞の炎症反応を媒介する細胞接着タンパク質VCAM1のmRNA量とタンパク質量が増加していた。老化マウス由来の血漿を若齢マウスに注入すると、BECおよび血管内のVCAM1量が増加し、歯状回の神経前駆細胞と未熟ニューロンの増殖低下または細胞数減少もしくはその両方が認められ、ミクログリアの活性化が刺激された。このような作用は、BECのVcam1を欠損させるかVCAM1に対するモノクローナル抗体を注射することによって、元に戻った。また、VCAM1抗体は、老化マウスにおいて海馬に依存した学習および記憶を改善させた。このように老化は、脳内皮細胞においてVCAM1依存性炎症反応を促進させ、結果的に、神経新生を抑制して認知能力を低下させる。