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複数生物種でCDK4/6阻害とVHL欠損の間に認められるHIF非依存性合成致死性

HIF-independent synthetic lethality between CDK4/6 inhibition and VHL loss across species

Research Article

Sci. Signal. 01 Oct 2019:
Vol. 12, Issue 601, eaay0482
DOI: 10.1126/scisignal.aay0482

Hilary E. Nicholson1, Zeshan Tariq1, Benjamin E. Housden2,*, Rebecca B. Jennings1,3, Laura A. Stransky1, Norbert Perrimon2,4, Sabina Signoretti1,3, and William G. Kaelin Jr.1,4,†

1 Department of Medical Oncology, Dana-Farber Cancer Institute, Harvard Medical School, Boston, MA 02215, USA.
2 Department of Genetics, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
3 Department of Pathology, Brigham and Women's Hospital, Harvard Medical School, Boston, MA 02115, USA.
4 Howard Hughes Medical Institute, Chevy Chase, MD 20815, USA.

† Corresponding author. Email: william_kaelin@dfci.harvard.edu

* Present address: Living Systems Institute, University of Exeter, Exeter, Devon EX4 4SB, UK.

要約

VHL腫瘍抑制遺伝子の不活性化は、腎がんで最も多くみられる病態である腎明細胞がん(ccRCC)におけるイベント開始のサインであり、低酸素誘導因子2α(HIF-2α)の蓄積を引き起こす。HIF-2α阻害薬は、一部のccRCC症例に有効であるが、研究室でも診療所でも、新規耐性と獲得耐性の両方が認められている。本稿でわれわれは、2つの生物種(ヒトとショウジョウバエ[Drosophila])と、培養または異種移植された多様なヒトccRCC細胞株において、サイクリン依存性キナーゼ4および6(CDK4/6)の活性低下とVHLの不活性化との間に合成致死性を確認した。HIF-2αは、CDK4/6のパートナーであるサイクリンD1を転写的に誘導したが、HIF-2αは、VHL−/− ccRCC細胞におけるCDK4/6必要量を増加させるために必要ではなかった。したがって、CDK4/6阻害の抗増殖性作用は、HIF-2α依存性VHL−/− ccRCC細胞ではHIF-2α阻害と相乗的であり、HIF-2α非依存性細胞ではHIF-2α阻害と拮抗的ではなかった。これらの知見は、ccRCC治療薬としてCDK4/6阻害薬を単独およびHIF-2α阻害薬との併用で検証することを支持するものである。

Citation: H. E. Nicholson, Z. Tariq, B. E. Housden, R. B. Jennings, L. A. Stransky, N. Perrimon, S. Signoretti, W. G. Kaelin, HIF-independent synthetic lethality between CDK4/6 inhibition and VHL loss across species. Sci. Signal. 12, eaay0482 (2019).

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